慎太郎side ページ49
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「俺、飲みすぎんなって言ったよな？」
『ん？えへへ、熱い』
「…聞いてねぇな」
目がトロンとして喋り方も緩くなった彼女は、俺の手を掴んで��つめたーい��と笑う。
そのまま頬に俺の手をくっ付けて冷ます仕草。
『きもちい』
「飲みすぎ」
『んー』
完全に酔ってんなコレ……
赤ちゃんみたいなA。両手で包み直したほっぺをぎゅっと挟んだら、驚いた顔でパチクリこちらを見る。
…かわいーな、コラ。
「部屋戻るぞ」
『なんで』
「もう皆潰れてんの」
周りを見たらジェシーも樹も北斗も重なるように寝ていてダウン中。
コイツらも飲みすぎだ。
後で無理やり起こして1発、腹殴る。
「はい、帰るよ」
『やだー』
「おい」
ペタン、と床に座っていたAは立った俺を見上げるだけ。
動く気ゼロだったから無理やりおんぶして連れてく。
『うわぁ！』
「大人しくしないと落ちるよ」
『落ちたくない』
やっと大人しくなったAを背中に、俺は屋上から自分たちの部屋へ繋がる階段を降りる。
『しんたろ』
「んー？」
ゆっくり降りていると耳元でAが��楽しかった��と俺に教えてくれた。
さっきの時間のことだろう。
「ならいいけど」
『しんたろは？』
「楽しかったよ」
満足そうに笑ったAは俺の背中に頭をグリグリ。
『久々に、楽しかったの』
「うん」
『こんな時間が続けばいいなぁって』
「…うん」
俺の首に巻きついた彼女の腕が少し強くなる。
ん？と少し顔を横に向けたら
『離れないでね』
耳元で小さくそう呟いた。
それは…どういう意味で言ってる？
「…離れないっていうか、警護してんだから離れらんねぇけど？」
『うん、そうだけど』
「ん？」
『…』
何が言いたい？
黙ったAはしばらくして少し遠慮がちに��ずっと一緒がいい��と俺の背中に顔を押し当てて言う。
「��ずっと一緒��か」
独り言を呟くようにその言葉を吐いた。
丁度、部屋に到着して彼女をベッドにゆっくり下ろす。
『もう1人になりたくない』
「ん」
『しんたろ、ずっといて』
酔ってるからか、いつもは言わない弱音がどんどん出てきてるみたい。
よかった、Aが俺を必要としてくれて。
1人で溜め込まなくて。
「…わかった」
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作者名：蝶-アゲハ-
| 作成日時：2022年3月1日 0時
