慎太郎side ページ39
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Aはかなりの覚悟で日本に来たはずだ。
じゃないと1年もモデル活動を休止しようと思わない。
「Aが何の目的で鷲尾に会うか。それによって話は変わるはずだと思うけど」
松「それは父親、だからだろ？」
「それだけの理由か？」
父親とはいえ、小さい頃に離ればなれになって記憶はほぼないというのに何故、会う必要がある？
何か言いたいことがあるんじゃないか？
「北斗、勝手に決めるなよ。お前はAの1番の理解者じゃないとダメだろ」
なのに、彼女に話も聞かず勝手にフランスに戻そうとするな。
そう言えば、北斗は眉間に皺を寄せて黙って俺を見た。
松「…」
「ごめん。…Aの様子、見てくるわ」
田「……おう」
言い合い、とまでは言わないが…少し気まずい。
居心地の悪い空間から逃げるように俺はAの寝室に入った。
「A…」
独り言のように呟いただけなのに。
ベッドで寝ていたAはゆっくりと目をあけて俺を捉える。
『…慎太郎？』
「ん？大丈夫か？」
目線を合わせるようにしゃがむと、Aは俺の顔を見て��ごめんね��と申し訳なさそうな顔をする。
「何がだよ」
『北斗、来てるでしょ…？』
「あ…、」
聞こえてたのか。さっきの話。
来てるよ、と答えると彼女はふぅーと深くため息。
『北斗の言う通りにするのが正解だし、皆の為だってわかってる』
「…」
『だけど、』
��復讐するまでは帰らない��
Aは天井を見上げて、怯えた様子もなくそう答えた。
「復讐…？」
『うん。』
Aは子供の頃、鷲尾にDVを受けていた。
その恐怖を植え付けた鷲尾に謝って欲しくて日本に来たと。
それが本当の目的。
だが、鷲尾は政府の人間だ。
それはAもさっき俺が北斗に話した内容で知ったという。
そこでAは鷲尾の過去の行いを全て公表し、鷲尾の地位を下げることを決めた。それが復讐。
『元々は、謝らせたいだけだった。だけど、さっきの話聞こえてきて変わった。』
父親も有名ならそれを利用してイメージを下げてやればいい。
お金使って好き勝手させないようにすればいい。
それがAの言う、復讐らしい。
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作者名：蝶-アゲハ-
| 作成日時：2022年3月1日 0時
