慎太郎side ページ36
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『………私の、……探してる…人』
震える指先が鷲尾に向けられている。
……え、まさか。
俺らは顔を見合わせた。
Aの探している人は、鷲尾なのか？
『…っ……はぁ、はぁ』
「とりあえず、テレビ消そ」
ジ「お、おう」
どんどん息が荒くなるA。
落ち着かせる為に、テレビを消して鷲尾を見せないようにした。
「A！」
『ぁ、………あの声、……っ！』
「わかった、わかったから。俺を見ろ」
ずっと震えて虚ろな彼女の頬を包んで、俺と目線を合わせるようにすれば
数秒後には目が合い、段々と落ち着きを取り戻して言った。
「一旦、ベッドに行こうか」
『…………』
俺の腕をぎゅうっと掴んだAは、落ちる涙も拭わずベッドに横になる。
『まだ、いて』
「ん、いるよ」
数分後には寝息をたてて眠った彼女。
ゆっくりとそこから離れてリビングに戻れば、明らかに不安そうな顔をした樹とジェシーが俺の顔をパッと見た。
田「A、大丈夫か？」
「うん、さっき寝た」
ジ「ちょ、っと…色々わけわかんねー」
鷲尾のことに関しては俺も混乱してる。
だけど、樹とジェシーはあんなAの姿を初めて見たもんだからそれも相まって状況がついてこないんだろう。
ジ「Aちゃんのあんな顔、初めて見た…」
田「酷く怯えてたぞ」
「前もそうだった」
レストランの帰りに襲われそうになった日、
眠れないと俺の帰りを待ってたAが初めて俺に打ち明けてくれた日だ。
あの日も探している人を思い出して身体を震わせてた。
「唯一、覚えているのは��声��だって言ってた」
田「だからアイツの声を聞いて震えたのか？」
「たぶん」
ジ「探してる人が鷲尾……？どういう関係？」
よく考えてみれば、鷲尾はバツイチ。
子供が居るか不明だったが、結婚してすぐ離婚したと
どこかで聞いた覚えがある。
それに鷲尾は権力とお金で何でも解決しようとする奴だ。
そして、自分の手は汚さない。
Aが言っていた、��力で全てを支配する��と。
たしかに、鷲尾は権力を使って何でもするし、いくつか当てはまる部分はある。
てことは、
「……鷲尾がAの父親？」
俺の呟きにジェシーも樹も眉間に皺を寄せ、驚いた顔をした。
まさか。と
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作者名：蝶-アゲハ-
| 作成日時：2022年3月1日 0時
