S・MISSION－1－ (ページ33)

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慎太郎side ページ33

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＿＿＿＿＿＿＿ずっと1人だった。

＿＿＿＿＿＿＿気づけば1人だった。

『1人に慣れちゃったからもういいけど』

あっけらかんと喋るA。

そうか…そうなんだ。

彼女は親から受ける＂愛情＂というものを知らないんだ。

カズさんが教えてくれた離婚してるという事実は確かだった。

父親が戸籍から外されているのも離婚して母方に引き取られたから納得できる。
それから母親と連絡を取っていないのも、違う人と新たに家庭を築いたからだし。

だからAは孤独で、ずっと1人でやってきたのだと。

だけどそれが続くのは嫌で、モデルという仕事を選んだのに
結局それが満たされやしなかったんだ。

「慣れんな」
『え？』
「孤独に慣れんなよ」

俺の顔をパッと振り向いたAが、一瞬考えた素振りを見せてぷはっと吹き出して笑う。

『慎太郎ってさ』
「？」
『友達多そうだね』

何を言うかと思えば…

なんだよ、それ。たしかに多いけども

「それがどうしたんだよ」
『ううん、皆にもそうやって手を差し伸べてくれるんだろうなって』

＂優しい人だなって改めてね？＂と首を傾けて聞いてくるAに、＂そんなことねぇよ＂と目を逸らした。

『最初は堅物だと思ったけど』
「それはお前が生意気だったから」
『お互い様だったってことでしょ！』
「ふは…そうだな」

それから、俺らは一言も会話せずただ同じ月を見ていた。

何分もの沈黙も全然苦じゃないほどまでに俺らは一緒にいるんだなと思ったのつかの間。

俺の肩に少しの重み。

「A…？」

横を見れば俺に頭を預けて寝ているA。

無防備なその顔に思わず近づいた。

「………」
『…んん』

＿＿＿＿＿＿あっぶね

俺、今…何しようとした？

彼女が起きなくてよかったと瞬間的に口元を抑える。

俺が…こんなこと。Aはクライアントなのに。

瞬きを数回してまた空を見上げた。

ふぅ、と出た深い息はため息か、安堵から出たものか。

何故だかカラダは少し、熱い。

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