S・MISSION－1－ (ページ29)

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慎太郎side ページ29

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松「そういうこと早く言ってよ」
『…ごめんなさい』

本当の事をAが伝えると、北斗は深いため息と共にそう言って呆れたように笑った。

松「Aが素直になってくれただけマシだけどさ」
『…うん』

Aは横目で俺をチラッと確認した。

ぎこちない様子で。

『北斗には迷惑掛けたくなくて…』
松「迷惑だと思ってねーよ。逆に言ってくれないほうが迷惑」
『ご、めん』

たどたどしく謝ったAの頭を北斗はガシガシと撫でる。

松「A、少し変わったな」
『え？』
松「出会った時より、全然いい」

北斗は彼女にそう言うと俺を見た。

え？…なに？

松「……良かったよ」
『何が？』
松「ううん」

不思議そうに顔を顰めたAに北斗は首を振って
じゃ、俺仕事戻るわ。と部屋を出てった。

扉を開けてからあっ、と声を出して何かを思い出した北斗はAに向かって＂だからって外に出すぎるなよ？＂と釘を刺す。

松「慎太郎も、Aを甘やかしちゃダメだから」
「そんなことしてねーよ」
松「？どうだかねぇ」

今度は本当にじゃーな、と言って扉の向こうへ消えてった。

「良かったな、仲直りできて」
『うん』

俺、いなくても良かったんじゃね？と思ったけど
Aが＂慎太郎のおかげ＂と微笑んでくれたからまぁいいや。

『ねぇ、』
「ん？」
『ホテルの屋上って出れたりする？』
「あー、どうだろ」

冷蔵庫の中から水を取り出す俺に、Aはソファから身を乗り出すように聞いてきた。

まあ、ここ最上階だし、貸切だからいけそうだけどな。

「確認してみようか。今から行きたいの？」
『ううん、夜でいい』
「そう」
『月が見たいの』

そういって携帯の画面をこちらに向けてきた彼女。

つられてその画面を覗き込めば、今日はなんとかムーンって綺麗に満月が見れる日らしく、それをAは楽しみにしているらしい。

『ここ高いから月綺麗に見えそう』
「そうだな」
『慎太郎、今日一緒に見てくれる？』

大きな目をキラキラさせたA。

そんな子供みたいな綺麗な目で見んなよ…

「いいけど」
『やったぁ』

最近、Aの色んな顔を見るせいか

…戸惑ってる自分がいる。

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