慎太郎side ページ28
.
.
「A？」
名前を呼んでも暫く向こうから声は聞こえず、
��北斗とケンカした？��と聞けば数秒後に肯定の返事が返ってきた。
『怒られた』
「うん」
『勝手な行動ばかり取るからそうなるって』
喋り方はまるでいじけた幼稚園児。
舌足らずな語尾に思わず笑いそうになる。
「北斗はAが心配で仕方ねぇんだよ」
『だからってあんなに怒らなくていいと思う』
「Aも北斗になんか言った？」
『……カンケーないでしょって、言った…』
あー、なるほどな。と独り言のように呟けば
不服そうに彼女が��何よ��と言う。
「A。北斗にもちゃんと理由言ったほうがいいと思うんだよ、俺。」
『え？』
「探してる人がいるってことだけでもさ」
じゃないと北斗も納得しないでずっとAを理解できないだろうし、2人の仲がより悪くなってく予感しかしない。
そう伝えれば、でも…とAは語尾を小さくする。
「北斗を巻き込みたくないのはわかるけど、あいつは俺らよりもAを知ってるし傍で見てきてる。なのにカンケーないって言われたら北斗、傷つくよ」
悩んでいるんだろう。
彼女なりに北斗を守っていたつもりが逆に傷つけてたんだってわかったら何か正解かわからなくなるよな。
「だから明日さ、北斗にちゃんと謝って、本当のこと言わないか？」
『………うん』
わかった、とAの了解を聞いて安心。
「じゃあ、明日な」
『うん…あの、さ』
「ん？」
Aが歯切れ悪く何かを言いたそうにする。
ちゃんと聞こえるように電話の画面から出るスピーカーに耳をすませば
『あ、りがと…ね』
とぎこちない感謝の言葉がこちらに届く。
…初めてじゃないか？
Aが��ありがとう��なんて言ったの。
『な…なんか言ってよ』
驚きで暫くなにも発しなかった俺にAが気まずそうに言う。
「あ、…ごめん。なんか、」
『なによ』
「Aってちゃんとお礼言えるんだ、と思って」
だって初日、俺に寿司買ってこさせて独り占めした時なんてありがとうの��あ��の字もなかったし。
めちゃくちゃ生意気だったじゃん。
『私、そんな失礼な人だった？』
「うん、なかなか」
『え！』
自覚なしだったみたいで驚いてる彼女。
初めましての人には生意気になるタイプなの？
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 722人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蝶-アゲハ-
| 作成日時：2022年3月1日 0時
