S・MISSION－1－ (ページ24)

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慎太郎side ページ24

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『別にモデルという職業になりたかったとかじゃなくて、ただ単に＂孤独＂になりたくなかったの』

＂孤独＂というワードを強調するようにゆっくり発した彼女は、さっきまで近くで見ていた夜景をベッドから遠目に見つめる。

『誰か1人でも私を知ってて欲しい、忘れないでほしい。注目される何かが欲しくてさ…それに服も好きだったし。だからモデルを選んだ』
「そうなんだ」
『まぁ結局、私は孤独だけど』

何かを諦めたような、そんな乾いた笑いを零してAは言う。

「なんで？」
『…何をするにも1人。誰かと何か楽しいことを共有したり共感したりすることなんてないの。基本、ご飯も1人だし買い物も1人。』
「……」
『もちろんさ、インスタで写真を投稿してカワイイってコメントを貰うと嬉しいよ？でも顔も見えない、声もわからない。その人がどんな顔してその言葉を打ってるのかも。』

＿＿＿＿だから、心が満たされはしない。

Aは寂しいんだ。ずっと。

俺にはそう感じた。

日本に来てから外に出たがるのは探している人の為だとわかったけど、それだけじゃない。

…Aは誰かと共有したかったんだろ。

たくさんのブランド店に足を運んだのも、レストランに行ったのも全部、オシャレな服や美味しいものを食べて一緒に楽しみたかったんだ。

『慎太郎が羨ましい』
「は？なんでだよ」
『樹とジェシーがいるじゃん。私にはそんな仲間、いないからさ』

こんなにもAが弱く見えるのは、きっと夜も深く暗いせいだ。

「…Aも仲間だろ」

え？と彼女が俺を見上げる。

「俺らは仕事で何度も共にしてる分、そりゃあ色んなこと知ってるし共有してきたけど、これからはAも一緒」
『なんで…』
「なんでって…俺らこれから1年ずっと一緒だぞ？」

そりゃそうだろ。

ただでさえこの数週間で色んなことあったってのに、1年も一緒にいたら楽しいこともしんどいこともあるじゃん。

「美味いとか嬉しいとかそういうのも俺らはAと共有すんだから…仲間だろ」

だから、寂しくなんかない。

そう言えば、Aは＂そっか＂と柔らかく微笑む。

「もう寝ろ。Aが寝るまでいるから」
『うん』

照れ隠しに彼女の頭をグシャグシャ撫でると
Aは満足そうに笑って横になった。

静かに眠るAは安心したようなそんな顔をしていた。

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