鍵をかけてしまっておきたい (ページ2)

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やっとのことでベットから抜け出したのに、顔を洗う時も、朝ごはんを作る時も、化粧をする時もずーっと、後ろから抱きついてくる。
いい加減退いてほしい。

「ヌナーあーんして。」

「自分で食べなって！！」

しかも、今朝はトーストにしたからあーんなんて出来ないってば。
ドンヒョガ！と少し低い声を出せば、
「じゃぁ、食べない。」
って、もう！うちの子はもう！ほんと！！わがまま！！

でも、私を抱きしめる腕も、指もほっそりしていて心配になるから、葡萄をドンヒョクへ差し出すと私の指ごと口の中へ。
生々しい感触に急いで指を引けば、後ろから抱きしめる力を強めて、くくくっと笑われた。

「Aちゃん、耳が真っ赤だけど？」

なんて、憎らしいことも付け加えてきたから、勢いをつけて、腕の中から逃げ出すと、部屋に飛び込んで鍵を閉める。

「ヌナーごめんって！開けてよ」

「ダメ！着替えるから！」

「見たいじゃん！！早く開けないとドア壊す。」

ガチャガチャと、本気でやりそうなドンヒョクに慌ててドアを押さえながら

「バカ！早くご飯食べないと、もう作ってあげない！」

と返せば諦めたのか、はーい。って返事と共にペタペタと足音が遠かった。

毎朝の事ながら、今日も忙しかった・・・・。
パジャマを脱いで、早く着替えないと。せっかく雇ってもらえたカフェのバイトなのに、クビになってしまう。

大きめのパーカーに、デニムで、髪の毛を纏めてキッチンへ向かえば、食べ終わったお皿を洗うドンヒョクの背中。
私より大きい背中に、少しだけドキッとしたりして。少しだけね。少しだけ。

「ヌナ！！今日も可愛い！俺もお揃いのパーカーにしよ。後で写真撮ろうねー」

「やだよ。またカフェの子にヘチャニとお揃いですね！って言われるもん。」

「そうなんですぅ、ヘチャニペンなんですぅって！言えばいいよ。」

いや、もう、それよ。カフェでは有名な強火ヘチャニペンだと思われてるよ。
やだって言ったのに、ドンヒョクはお揃いのパーカーを着て、キャップを私に被せるとカメラでツーショットを撮った。しかも、私の頬にキスをしてるイチャイチャしてるやつ。

「誰にも見せないでよ！？」

「ヒョン達に自慢するに決まってんだろ？」

ルンルンと靴を履いて、玄関で私を抱きしめると優しくキスをしたら、アイドル、ヘチャンの顔に変わる。

「あ、言い忘れた。電話はワンコールで出てね」とか、意味不明なことを言ってドアが閉まった。