Carino Chien.

貴方side ページ46

.








.








「よし！ご飯食べよう！！」








私の家についてから彼は元気に喋る。

気を使って、空気を明るくしてくれるけど
何処と無く悲しそう。






『ごめんね』
「ん？」
『頼りないわけじゃないの』






慎ちゃんが珍しく作ってくれたご飯。

食べてる間、さっきの事は何も無かったかのように面白い話をしてくれる彼だったけど、それを美味しく頂いた後、やっぱり我慢出来ずに謝った。






『慎ちゃんに会うとさ、会社での事とか嫌な事とか忘れちゃうの。』





だから、言えなかったんじゃなくて言うことを忘れるくらい私にとってはどうでもよかった。

まぁ結局、慎ちゃんに助けて貰っちゃったけど。


ありがと、と伝えると慎ちゃんは安心したかのように笑った。






「車で向かってる時さ？Aが彼氏いるってことをアイツに伝えてたのも、大好きな人がいるって言ってたのも聞こえてたんだけど」
『え！？ウソ！！』
「ホント」
『っ〜〜〜！』





思わぬカミングアウトに赤面。

よく考えたらそうか、電話繋がってたんだもんね。

顔を隠す私に慎ちゃんは嬉しかった、と言った。






「告白された気分だった」
『ねぇ、やめてよ…』
「俺が照れた」





今、俊にそれを言った時のことを思い出して
最悪って思ってたのに、

慎ちゃん、ずっと言ってくるんだけど。

なに？私の反応みて楽しんでる？？





『もういーよ！』
「んで、アイツにちょっと態度冷たい感じもよかった」
『恥ずかしすぎる…』






流石に我慢できず、彼から離れてソファに座った。

だけど面白がって慎ちゃんは近づいてくる。






「なんか、刺さったよね」
『まだ言う……』





イジけた私にごめんごめん、と言ってくるけど
振り返った先に見えた慎ちゃんの顔は全然反省してない。






「それくらい嬉しかったってこと」
『もう…』







そして私の手をとって手首まで優しく撫でた彼は
手放せないなぁ、とポツリ。







『ん？』
「…一緒に住まない？」
『え！？』







話の切り替えが急すぎる…

貴方side→←貴方side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す