Cuz I luv ya.−2−

慎太郎side ページ18

.





.






またAと会えない日々が始まって、

ライブはもちろん、その期間にあるYouTube撮影だったり、バラエティー番組なんかの仕事を俺は淡々とこなしていってた。



メッセージで連絡を取り合ってはいるけど、
8月まで彼女と実際に会うことができないのは残念。


7月は俺の誕生日なんだけどなー、なんて。


てかA知らねぇよな。俺の誕生日






.







それでも前より向こうから連絡くれる頻度が上がって、“何してる？”とか“今、ライブ終わってご飯食べてる！！”とか、たまに写真なんかも送りあってるから寂しさはまだましだけど。






今日は生放送の音楽番組

その中で“アルバムチャート堂々の1位！！”と出されたVTRにAが映し出される。


22歳にして世界からも注目を浴びる歌姫ミリオン達成！なんて紹介されてて、
やっぱすげーなぁ、と思ってたら隣にいたきょもに肘でつつかれる。


彼は一瞬ニヤっとしてバレないようにまた顔を戻した。

俺も答えるように肘できょもをつついて画面に向き直す。



けど、“アルバムをひっさげたライブツアー真っ最中の彼女からなんとこの番組にメッセージが！！”なんてナレーションの人が興奮した様子で言うもんだから、スタジオにいた俺たちも
えぇ！？なんてびっくりしちゃって。



テレビ出演をしないと周りにも認知されていたA。
しかもシンさんのこともあったからもう無いと思ってたのに。







京「慎太郎知ってたの？」

「知らないよ」






周りに聞こえないようにきょもが聞いてきたけど、

本当に知らない。言ってなかったもんそんなこと。




小さな画面に映った彼女はいつも通り綺麗で。

“初めまして、華野Aです。”と緊張した表情で喋る彼女を見て口元が緩む。


そんな俺をメンバーは何度もチラ見。





ライブやMVで見せる顔とまた違った雰囲気に
スタジオ内にいる他のアーティストさんはカワイイ……なんてつぶやいてたり。



司会者さんだって“会ってみたいよね”なんて一瞬でトリコになってるもんだから
俺的には嬉しいような嬉しくないような？
なんとも複雑な気持ちになる。





生放送を終えて、すぐに連絡してやろうと思って見た携帯には1件のメッセージ。







“生放送お疲れ様。びっくりした？”






数分前に送られてきたそれに
“めちゃくちゃびっくりした”と返信すればすぐに既読になった。






.

慎太郎side→←慎太郎side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す