地学研究者の弟分 (ページ7)

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落とし物ページ7

なんとか話をつなげて、家にかえした。
その達成感に満ち溢れた僕は、だらだらとスマホを見ていた。
そもそも僕はスマホをあまり触る方ではない。
緊急連絡用に持っているだけだ。
出身は田舎だし、こっちにも知り合いはいないが。

そろそろ買い物に行こうかという時刻。
僕はすぐそばに、知らない財布が落ちてることに気がついた。
黒いレザーの二つ折りの財布。
きっと、刀也くんのだろう。
さて、連絡先も知らない高校生の財布をどうすればよいだろうか。
はあーとため息が出る。
ま、でもきっとすぐに気づいて取りに来るだろう。
もう2時間は経っているが。
できるだけめんどくさいことは考えないようにして、僕は財布を放置することにした。

それから、3日。
刀也くんはまだ取りに来ない。
めんどくせえ。正直死ぬほどめんどくせえ。
だが、金絡みの問題はめんどくさくなると、相場が決まっている。
でも外出たくないしなあ。
なんて思っていると、パソコンがパッと光る。
見ると、仕事のメールだった。
「えっと、私立高校か……」
要約すると、高校のホームページ作成とテストの採点ソフト作成の依頼だった。
ん？この私立高、刀也くんの通ってるとこじゃないか?
すごいマンガ展開!フィクションみたいだ。
(※フィクションです。)
メールによると、ホームページ作成はデザイナーさんとまじえて話し合いがあるそうだ。
じゃ、そのときに財布、持っていこっと。