紬ぎ歌Ⅱ (ページ2)

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そうとう長い間話し込んでいたようで、
時計を見ると勇人が部屋に来てから
短針がもう既に3回は回っていた。

「やばい、私そろそろミーティング行かなきゃ…」

「何時からなん？」

「後10分で始まる。」

時間前にいなきゃいけない決まりはないけれど、
1番下っ端だからなんとなく早く行こう、って
自分の中で決めてあるから話しながら準備を始める

「じゃあ俺も戻るわ、」

「うん。ご飯もありがとね」

満更でもない顔をして部屋を出て行く勇人を見て、
なぜか自分の頬まで緩くなってくる。

きっとこれは久しぶりに話して嬉しかったから。

突き放されたと思ったら心を引き寄せられて、
たった1日の間に完全に勇人のペースに乗せられた

鍵を持って部屋を出たところで、
丁度、飲み物を持った川端さんと行きあって

「Aちゃん、顔がスッキリしてるやん。
半日前とは別人みたいや。そっちのがええよ」

なんて言うだけ言って去っていった。

昨日の件も含めてスタッフへも、
行動に責任を持つようにということと、
明日の連絡が伝えられたミーティング。

解散になって、部屋に戻ろうとすると後ろから

「ちょちょちょまって、A！」

なんて慌てて付いてくるマエケンとひろ。

「びっくりしたぁ、何々？急にどうしたの」

「いやまぁちょっとお話しようと思って」

ニヤニヤしながら話を持ちかけてくるマエケンと、
そんな彼の後ろでこれまたニヤニヤしているひろ。

「A、勇人に何か言ったん？」

「勇人に…？大したことは言ってないけど…」

「大したことない、ってことは言ったな？」

「いや、まぁそりゃ言ったけど」

「いやぁ流石や、手懐けられてるやん、勇人」

流石にそろそろ話の意味がわからなくなってきて、
思わず尋ねてみると詳しいことは何1つとして
教えてくれなかったけど部屋で何かあったのは確か

「まぁ、なんでもいいや。楽しそうで何より」

「Aが心の広いやつで助かったわ！ありがとな」

意味不明な言葉を残して部屋に戻って行く2人も、
修学旅行中の高校生のようなノリで、
毎日あれなのか、と考えるだけで疲労感に襲われる

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