I want to know

◎山田哲人 ページ47

．



(めちゃめちゃ季節外れですご了承ください)






テレビをつければ聞こえてくるのは


「クリスマス」


その言葉ばっかりで、飽き飽きしてしまう。







高校2年生の私たちにとって、

高校生のうちに思いっきり彼氏と楽しめるクリスマスは
今年で最後。



周りの友達もみんな

「今年はごめんっ…どうしても約束が…」


って言って今年はクリぼっちが回避できなさそうな予感。






みんなが帰った後の教室で、「はぁ〜〜」と

一人大きなため息をつく。


わたしも好きな人とクリスマスを過ごしたい。


まぁ、無理なんだろうけど。




「盛大なため息やな。大丈夫？」



急に後ろから話しかけられたから驚いて

後ろを振り返ると、そこには練習着を着た哲人の姿。


今考えていた人の急な登場に心臓がバクバクする。





「わ〜なんだ哲人か、びっくりしたなぁ。」


「なんだってなんやねん。折角心配してやっとんのに」


「余計なお世話や。はぁ。」


「幸せ逃げるで、少なからずもう逃げてるやろ」





そう言ってケタケタ笑う哲人の笑顔が憎たらしい。




「そんでどうしたん？言ってみいや。俺が解決してやるわ。」



コイツに言っても無駄では？そう感じたけど、

誰にも言えずにいるこの悲しさを共有したい。




「いや、今年のクリスマスぼっちやねん、」



そう言った後、哲人からの反応がなくて、

なぜか妙に怖くなって、


「なに？言わせたんやからなんか言ってや」


そう言うと、


「俺が一緒にいてやろうか？」


いつものようにふざけた笑顔じゃなくて、

真剣な顔でそう伝えられる。


そんな雰囲気に耐えられなくて、ぎこちなく笑いながら


「何冗談言うてんの？哲人部活やろ？」


「いや、午前練やから。全然行けるわ」





突然のお誘いに内心めっちゃ喜びながらも、

言葉を濁していると、





「なあ、ダメ？お前が他のやつと過ごすくらいなら

俺と一緒におってほしいわ。」




彼氏でもないのにこんなことを言う哲人に戸惑いながらも、

勘違いさせるようなことを言わないでほしい、


そう願う。






「ん〜。ほんまにええの？」


「ええて。素直になりいや。寂しいんやろ笑」


「ん。ありがとな、楽しみにしてるわ」





ほんとは叫びたいくらい嬉しいけど、

その気持ちを我慢して突然楽しみに変わった

クリスマスを待ちわびる。









Happiness is right there







( 幸せはすぐそこに )

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