I want to know

◎鈴木誠也 ページ37

．








例えば、試合に勝った日。




家に帰ると、必ずいい匂いがしてAが出迎えてくれる。

「おかえり。今日もよく頑張ったね」


納得いく結果じゃなかった日も、この一言で

“明日も頑張ろう”

そう思える。単純な俺。









例えば、試合に負けた日。




変わらずいい匂いのする家。

静かに家の中に入ると、無言で俺を抱きしめてくれるA。

「せいやくんらしく、ね」

そんな魔法な言葉を、一文字一文字心を込めて、

俺に伝えてくれる。









例えば、デーゲームの日。






外から見ても分かる、明かりのついていない家。

1時間ほどすると大きな荷物を抱えて帰ってくるA。

こんな時は、俺が

「A、お疲れ様」

そう言ってAを抱きしめる番。









例えば、遠征の日。





毎回照れながらもかかさない行ってきますのキス。

必ず23時に俺からかける1時間の電話。


最後には必ず、

「明日も頑張れます様に」

そうお願いして電話を切ってくれるA。









例えば、オフの日。





まだ俺が寝ている間に買い物に行ったA。

それを確認して、小さな箱をポケットの中に忍ばせる。


ガラにもなく緊張していて、

少しずつ早くなる呼吸が更に俺を心配にさせる。





帰ってきたAに、どんな言葉でこの気持ちを伝えようか。


プランなんか全く考えていないし、

そんなもん考えたところで俺は多分実践しないだろうし、



ありのままの俺で、素直な気持ちを伝えたい。






そんなことを考えながら布団の上でゴロゴロしていると、

ガチャガチャと玄関で鍵を開ける音。




一層ドキドキして歯止めが効かない心に手を置き、

ちょっとだけ勇気をもらってみる。





玄関に向かうと、ちょうど靴を脱いでいたAと目が合う。




「あ、せーやくん。おはよう」




ふ〜っと一息吐いてから、

真剣に君のことを見て、




「A、俺と結婚してください。」




そう言って、指輪を差し出す。






聞こえてくるのは泣き声で、

笑顔と涙でグチャグチャになった顔をしたA。




「まって、こんなのずるい、、、、、」




軽く施された化粧も、もはや姿を消していて

ただただ泣きじゃくるAすらも愛おしい









これは俺の勝手な考えだけどね、

俺たち多分ずっと幸せだよ。そんな気がするもん。









Let's walk by two people





( 2人で歩いていきましょう )

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