I want to know

◎石井一成 ページ29

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雨というのは俺たちにとって好都合だ。









まず、人が出歩かない。


数少ない人たちも、皆傘に隠れて顔が見えない。









「かず〜、お腹すいた」







Aにそう言われて時計を確認すると、


そろそろ7時を指す頃だった。






「何時までだっけ、ご飯食べていいの」



「別に決まりじゃないよ。でも8時までには済ませたい、かな」







そう言って笑う彼女の笑顔ほど美しいものを、


僕はまだ見たことがない。









野球選手と芸能人。







バレたらきっとこの関係は終わってしまう。





そんなスリルが、俺らを掻き立てる。









今日だって、こうやって1日を一緒に過ごすのは多分数ヶ月ぶり。




でも、1時間しか会えないとか、そんな関係が丁度良い。









家で2人きりのデートを楽しむのもいいけど、



結果、どこにいてもAとなら楽しい。








「A、明日何時から？」




「11時にマネージャーが迎えに来る。かずは？」




「ナイターだからまあ同じくらいかな。」







そう言ってAの方を向くと、Aと目が合う。







どちらから視線を外そうとするということはなく、




少しずつ2人の距離が近づいて、唇が触れ合う。









これが始まりの合図。








きっともう、止めらない。









「…いい？」





「そんなこと、聞かないでよ。」









そう言うと、どちらからともなく再び唇が近づく。







「遅刻しない程度で、ね？」








そう言って妖しげに笑うAの瞳に写るのは、







一生俺でいい。









「俺以外、考えられないようにしてやるから」









ふるるさんリクエスト


Be only me, you.








( 僕だけの君でいて )

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