狼狽 -nostalgia- ページ10
.
授業が始まっていつもの雰囲気を取り戻した
１年と２年でペアを組めと言われたら誰よりも早く爆豪を指名し、有無を言わさず隣をキープした。
そして時々、見学席を見上げる。
姿は見当たらないがきっと見学者に紛れて授業を見ているであろうAの存在を警戒してか、何度も、何度も。
それから爆豪の顔を見て悔しそうな表情を浮かべていた。
＊＊＊
１年と２年の合同授業が終わった。
本日最後の授業というわけで、ホームルームもなくあとは自由解散となっていた。
「ひっさびさに見たよなーAちゃん」
「久々って、そんなに見てないわけじゃねーだろ？」
更衣室で着替えながら切島は上鳴とAについて噂していた。
知らされていなかったが、実は経営科も交えての合同授業だったらしい。
「そうじゃなくて
「プロトタイプて」
「赤いリボン、懐かしかったな〜」
「コンタクトもしてたし。完全に爆豪に会う前のAちゃんだったな。なァ、爆豪……あれ？」
振り向いて話を振ってみたが、背後で着替えていたはずの爆豪の姿はなかった。
「爆豪は？」
「着替え終わってもう出ていったぞ」
「は？」
出口の扉を指差しながら瀬呂が言った。
話に夢中になっていて全く気づかなかった。
「ちらっと見えたけどいつもの後輩ちゃんいたっぽい。爆豪のヤツまじでAちゃんのこと諦めたのか？」
「そんなわけねーだろ。さっきだって────じゃなくて！！」
(アイツ、今の状況を分かってんのか！？)
氷雨の様子からして爆豪が付き合っていたのはAだと知っていた。
そして爆豪がまだAに未練があることも。
授業では何も動きはなかったが、いつ何かを仕掛けてきてもおかしくない。
他人の意思を操作できる個性を持っているため、慎重に慎重を重ねてもまだ足りないくらいだ。
そんな個性に引っ掛かるかと豪語していた爆豪のことだからそう簡単に罠にはまることはないだろうが──……
(……どこにも爆豪がいねぇ！！)
心配になった切島は爆豪が行きそうな場所を探した。
──けれど、教室にも寮にも爆豪の部屋にも、その姿はなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2747人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ヒロアカ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
える - 昨日の晩から読み始めて一気に読み終わりました！！めっっっちゃよかったです！ファンになりました(´∀｀*) (2020年12月8日 18時) (
レス) id: 925912332c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ - 夏雄はウチの名前と似てて、『夏』って呼ばれてたから、嬉しかった！！最高でした！お話も凄い良かったです！続きないのか少し残念…(笑)。 (2020年9月27日 20時) (レス) id: f425f990e3 (このIDを非表示/違反報告)
畢竟無(プロフ) - 22ページに親近感…！(名前的に)いつもながらとても面白いです！頑張ってください！ (2020年5月23日 23時) (レス) id: f1eda83896 (このIDを非表示/違反報告)
玄人になりたい桃(プロフ) - す、好きです！！いつも陰ながら読ませてもらってました！！コメント失礼します！ (2020年5月18日 11時) (レス) id: 8c7ae1dbd2 (このIDを非表示/違反報告)
蛍原(プロフ) - いつも楽しく読ませて貰ってます！これからも頑張ってください！ (2020年5月15日 21時) (レス) id: 5ee87af96c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑪瑙
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2020年5月7日 16時
