策謀 -temptation- ページ6
.
「──オイ、クソ髪」
「……」
「オイっつってんだろーが！！」
「うわぁあ！！ びっくりした！ 顔の真ん前で個性使うなよ！！」
顔面スレスレの軽い爆破に驚いて切島は我に返った。
のけぞった勢いでバランスを崩し、無様にも地面に尻餅をついてしまった。
見下ろす爆豪は心底呆れた表情をして熱を持った手を下ろした。
「なに簡単に個性に引っ掛かってンだよ」
「え、今のって個性？ 君の──ってあれ！？ いない！？」
不気味な笑みを浮かべていた後輩はこの場にはいなかった。
切島が圧迫感に
「なんだったんだ……」
まだ体に氷が張ったかのように冷たい感覚が残っている。
なのにカバンを持っていた手は汗で湿っていた。
なんとも言えない不思議な余韻を感じながら立ち上がって寮に入った切島は、爆豪に問いかけた。
「なァあの子、爆豪の知り合い？ あ！ 追いかけて来たって言ってたから中学の後輩か」
「は？ あんな女、知るワケねーだろ」
「じゃあなんで個性知ってんのさ」
「見てりゃ気づくわ。何か仕掛けようとしてることくらいバカでもな」
「遠回しに俺のこと馬鹿にすんなよ！！」
「まんまと引っ掛かったテメェはバカ以下だ」
「くッ、反論できねぇ！」
切島は拳を強く震わせ自分の失態を猛省した。
まさか後輩が先輩に対して個性を使うなんて。
そんな心理が油断を誘った。
目を合わせた相手に対して発動するタイプの個性を彼女は持っていたらしい。
自分の意思が曖昧になって自由に体を動かせなくなったところをみると洗脳系だろうか。
(目を合わせるだけで洗脳できるとか……心操よりも発動条件緩いじゃねぇか！)
それは味方であれば心強いが、敵に回すと厄介な相手である。
人懐っこい後輩を演じて爆豪に個性を使う気でいたのなら……、
(普通にまずいだろ、それ！)
「爆豪！ お前、気をつけろよ！」
「はァ？ テメーに言われんでも分かってるわ」
「Aちゃんに報告しておいたほうが……」
「──オイ」
氷雨が洗脳系の個性を使うならAにも注意するよう言っておかなくては。
そう思ってスマホを取り出しのに、その善意は爆豪の手によって遮られてしまった。
「余計なことすんじゃねぇ」
爆豪の口から出たのは、かつて恋人であった人間に対して冷たい一言だった。
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反駁 -intermezzo-→←豪胆 -schadenfreude-
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える - 昨日の晩から読み始めて一気に読み終わりました！！めっっっちゃよかったです！ファンになりました(´∀｀*) (2020年12月8日 18時) (
レス) id: 925912332c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ - 夏雄はウチの名前と似てて、『夏』って呼ばれてたから、嬉しかった！！最高でした！お話も凄い良かったです！続きないのか少し残念…(笑)。 (2020年9月27日 20時) (レス) id: f425f990e3 (このIDを非表示/違反報告)
畢竟無(プロフ) - 22ページに親近感…！(名前的に)いつもながらとても面白いです！頑張ってください！ (2020年5月23日 23時) (レス) id: f1eda83896 (このIDを非表示/違反報告)
玄人になりたい桃(プロフ) - す、好きです！！いつも陰ながら読ませてもらってました！！コメント失礼します！ (2020年5月18日 11時) (レス) id: 8c7ae1dbd2 (このIDを非表示/違反報告)
蛍原(プロフ) - いつも楽しく読ませて貰ってます！これからも頑張ってください！ (2020年5月15日 21時) (レス) id: 5ee87af96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2020年5月7日 16時
