懇望 -pyrophobia- ページ17
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「お姉様！」
「……」
Aを呼ぶ氷雨の声と表情は歓喜に溢れていた。
しかしそれもつかの間、ここに現れた理由を察して憂いへと変化させる。
「Aお姉様。どうしてこの男を……、いいえ、どうして汚らわしい男がいる場所をお選びになったのですか！」
「……」
「お姉様はずっとずっと綺麗な場所で穢れを知らずに純粋に生きてくださればいいのに！ どうしてっ」
後輩の自分勝手な切なる願いに、Aは心底呆れ返った表情をしていた。
「どうして何も言わずに『外』に行かれたのですかっ！ どうしてわたくしだけを愛してはくれないのですかっ」
「そうだね。黙って雄英に来ちゃったのは謝る。私のことを好きだと言ってくれたあなたに対して不誠実だったね」
「お姉様……」
「だから私もあなたを愛してあげる。ほら」
Aは慈悲深い笑みを浮かべ、氷雨に向けて手を伸ばす。
さあ飛び込んでおいでと言わんばかりに。
「お姉……様？」
けれど氷雨は怯えていた。
「何ですか、その体にまとわせているものは」
「見てわからない？ 炎だよ」
氷雨の瞳に映るのは炎をまとわせて両手を広げるA。
教室内の冷気はみるみる上昇し、その温度は体温近くまで上昇していった。
体全体に滴る雫。
それは汗ではなく──……
「いや……。だって、お姉様の個性は『雪』でわたくしを救ってくださった……白くて、優しい……」
「うん。それが私の個性。でもね、これも私の個性なの」
「どうして……」
「抱きしめて欲しいんでしょう？ ほら、おいで。私の愛が欲しいんでしょう？ 愛して欲しいんでしょう？ 遠慮しなくていいよ」
──さあ、おいで。
Aは氷雨に向かってにっこりと笑顔を浮かべていた。
「や……いや、いやあぁ！！」
氷雨は溶けかけた体を抱きしめながら教室を出ていった。
それを見送りながら切島は溶けかけの氷から脱出した。
「爆豪、無事か──」
「勝己君っ」
切島よりも先に動いたAが、炎を体にまとわせたまま氷漬けにされている爆豪に抱きついた。
熱を持っているが人体には被害のない炎だ。
爆豪を拘束していた氷はみるみるうちに溶けていった。
氷の支配から逃れた爆豪はAに抱きしめられる形でその場に倒れこんだ。
「大丈夫？」
「……、A、」
「うん。ごめんね。ありがとう」
まだ感覚が麻痺して動けずにいる爆豪に、Aは精一杯の賛辞を込めて抱きしめた。
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える - 昨日の晩から読み始めて一気に読み終わりました！！めっっっちゃよかったです！ファンになりました(´∀｀*) (2020年12月8日 18時) (
レス) id: 925912332c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ - 夏雄はウチの名前と似てて、『夏』って呼ばれてたから、嬉しかった！！最高でした！お話も凄い良かったです！続きないのか少し残念…(笑)。 (2020年9月27日 20時) (レス) id: f425f990e3 (このIDを非表示/違反報告)
畢竟無(プロフ) - 22ページに親近感…！(名前的に)いつもながらとても面白いです！頑張ってください！ (2020年5月23日 23時) (レス) id: f1eda83896 (このIDを非表示/違反報告)
玄人になりたい桃(プロフ) - す、好きです！！いつも陰ながら読ませてもらってました！！コメント失礼します！ (2020年5月18日 11時) (レス) id: 8c7ae1dbd2 (このIDを非表示/違反報告)
蛍原(プロフ) - いつも楽しく読ませて貰ってます！これからも頑張ってください！ (2020年5月15日 21時) (レス) id: 5ee87af96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2020年5月7日 16時
