耽溺 -philanthropy- ページ15
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お姉様はそう──言い表すなら“天使”です。
わたくしはいわゆる『雪女』のような体質なので暑さや熱には弱いのです。
特に夏の日差しは地獄です。
あまりに長い間、暑い場所にいると体が溶けてしまうのです。
学校側もクラスメイトもそれは承知してくれていて、ある程度の気温以上の日の体育は見学させてもらっていました。
けれど──……。
ある１０月の体育祭の日でした。
涼しい季節になったというのに、真夏日に近い日だったのです。
競技を終えたわたくしは上がってしまった体温に耐えきれず、体を溶かしてしまいようなったんです。
皮膚がアイスクリームのように溶けていく感覚。
体がなくなるということはありませんが、とても醜い姿になってしまうのです。
わたくしはそれが耐えられない。
だからそうならないように注意していたのに。
「ぅ……、」
「大丈夫？」
わたくしが体が崩れないように支えていると、慈悲深くもAお姉様が声をかけてくださったのです。
「暑い……熱いっ、体が、溶ける！ もう、やだ……っ」
「ちょっと待ってね」
そう言うとお姉様はわたくしの体を抱き寄せ、冷気で包み込んでくださいました。
わたくしの視界には美しく舞う雪の結晶が輝いていた。
ああ、なんて美しい個性なんだろう。
思わず手を伸ばして触れようとした。
わたくしは『雪女』なのに『雪』が扱えない。
どうしてか『氷』として発現してしまう。
一族のみんなは『雪』を扱うのに。
とても強い個性だからヒーローとして戦うには向いているとお医者様は言っていたけれど、わたくしは繊細で優しい『雪』に憧れていた。
Aお姉様がわたくしに施してくださったものはまさに『それ』だった。
美しく聡明で、それでいて優しさに溢れた人。
後輩だけでなく同級生や先輩方、先生でさえも彼女に一目置いていた。
みんな尊敬していた。
わたくしもその１人だった。
大好きでした。
憧れでした。
どこまでも純粋で汚れを知らず、天使の方な微笑みを浮かべてくださるお姉様。
いつまでもわたくしの敬愛するお姉様でいてくださると信じていました。
なのに。
それなのに──……
「お姉様は変わってしまった──……っ」
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える - 昨日の晩から読み始めて一気に読み終わりました！！めっっっちゃよかったです！ファンになりました(´∀｀*) (2020年12月8日 18時) (
レス) id: 925912332c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ - 夏雄はウチの名前と似てて、『夏』って呼ばれてたから、嬉しかった！！最高でした！お話も凄い良かったです！続きないのか少し残念…(笑)。 (2020年9月27日 20時) (レス) id: f425f990e3 (このIDを非表示/違反報告)
畢竟無(プロフ) - 22ページに親近感…！(名前的に)いつもながらとても面白いです！頑張ってください！ (2020年5月23日 23時) (レス) id: f1eda83896 (このIDを非表示/違反報告)
玄人になりたい桃(プロフ) - す、好きです！！いつも陰ながら読ませてもらってました！！コメント失礼します！ (2020年5月18日 11時) (レス) id: 8c7ae1dbd2 (このIDを非表示/違反報告)
蛍原(プロフ) - いつも楽しく読ませて貰ってます！これからも頑張ってください！ (2020年5月15日 21時) (レス) id: 5ee87af96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2020年5月7日 16時
