□ 思い出の形 ページ2
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Ａ組の寮にて。
焦凍はどうしても見たいテレビがあったため、バラエティ番組を見ている女子にチャンネル権を譲って欲しいと頼んだ。
「い〜よ〜。何か見たい番組でもあるん？」
「……全国の美味しい蕎麦ランキング」
麗日の質問に焦凍に答える。
「あー……なるほど。好きだねぇ」
「どうぞどうぞ〜」
他の女子たちも同様に納得して、テレビのリモコンを焦凍に譲った。
焦凍はテレビの正面にあるソファーを陣取り、始まったと同時に真剣に見入った。
とても食欲のそそる内容だ。
近場でランクインしているところがあったら行ってみたい。
なんて考えていると、ランキング５位に静岡の蕎麦屋がランクインした。
(お……)
なかなか美味しそうだ。
実家に帰る時、Aを連れて食べにいっても良いかもしれない。
詳しい店の情報を知りたかったが、残念ながらＣＭに入ってしまった。
「ねえねえ、焦凍」
くいっと袖口を引かれて隣を見る。
いつのまにか妹のAが座っていた。
テレビを見ている間にこちらの寮に遊びにきていたらしい。
ランキングに集中していたので、まったく気づかなかった。
「なんだ？」
「じゃーん！」
──と、Aはコートを焦凍の目の前で広げてみせた。
それを見た焦凍の第一印象は『随分古い』だった。
流行に疎い焦凍でも、それが『時代遅れ』のデザインだと理解できる。
「どう？ ねえ、どう？ どう？」
Aはソファーから立ち上がってそのコートを羽織り、嬉しそうにくるりと回ってみせて感想を求めた。
(……)
ここで似合うと言っていいのだろうか。
本人はすごく気に入っているようだが、これを着て街を歩くのはさすがにやめた方が良いだろう。
Aの後ろにいる女子にたちも微妙な表情を浮かべていた。
「……そのコート、裾がヨレヨレだし腕とか横の方とか……なんだ？ シミがついてるぞ……？」
「そうだね〜」
「……」
着ない方が良いと遠回しに指摘してもAの嬉しそうな表情は変わらなかった。
このままでは可愛い妹が恥をかいてしまう。
どうしたものかと頭を悩ませる。
嘘でも「似合ってる」と言えば良いのか。
いや、そんな無責任なことはできない。
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文月 - 初めまして。すごく素敵な作品でここまで一気に読んでしまいました！！絵もすごく好きです！！！ (2018年9月28日 11時) (
レス) id: 14f4662f66 (このIDを非表示/違反報告)
瑠嘉 - リクエスト答えていただきありがとうございます。 (2018年9月16日 15時) (レス) id: efb6f4c834 (このIDを非表示/違反報告)
∞Aria∞(プロフ) - 絵のかっちゃん好きすぎる…夢主可愛すぎる…サイコー…… (2018年8月31日 20時) (レス) id: 77272a15db (このIDを非表示/違反報告)
舞華 - ほんっとうに絵がお上手ですね！羨ましいです！ (2018年8月31日 0時) (レス) id: 388f25156a (このIDを非表示/違反報告)
瑠依(プロフ) - イラストが変わってるの凄く良いです！カーディガンのシチュも好きです！あとTwitterやってますか？ (2018年8月31日 0時) (レス) id: d76a55fa5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2018年8月10日 21時
