雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ42)

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救出ページ42

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菊見の手から逃れることのできたAは、まず爆豪へと駆け寄った。

「爆豪君、大丈夫？」
「ウッセーーわッ！！」
「うわっ！」

力なく膝をついている姿が心配で顔を覗き込めば、右腕が首の後ろに回り、ぐいっと引き寄せられた。

目の前にはこめかみに青筋を浮かべた爆豪の顔。

菊見の罠にはまって相当お怒りのようだ。

「てんめぇ……分かりにくいんだよっ！！」
「え、私！？ってか、分かりにくいって何？」
「電話だボケっ！一瞬何かと思ったわっ！！」

電話……といえば助けを求めるために掛けたあれだろうか。

(あ、あれ？私、焦凍に掛けたつもりだったんだけど……)

──いや、最後に通話をしたのは昼休みの爆豪だ。
いつもの手癖で一番上をタップしてしまっていた。
なるほど、それで爆豪が来たのか。

「ややこしいモールス信号なんて送りやがって」
「だって声出なかったし……。あ、ちゃんと分かってくれたんだ」
「舐めんなよ、基礎中の基礎だわ」

さすがヒーローを目指すもの。
モールス信号で送った「Ｓ・Ｏ・Ｓ」はちゃんと伝わっていた。

「ありがとう」
「……ふン」
「っていうか、すごい格好だね」
「あ？」

Aは首に回されている爆豪の腕を降ろして距離をとった。
爆豪の格好は制服のズボンにとりあえずシャツを羽織ったもの。
ボタンは１個しか留められておらず、靴下も履いていない。

「しかもボタン一段掛け間違えてるし」
「～～～～っ、てめーが着替えの途中に電話してきやがったんだろっ！！」
「あ、そうか」

ごめんごめんと言いながら、ボタンを１つ１つ留め直してあげた。
一番上のボタンまできっちり留めようとすると、手を振り払われてしまったが。

「Aっ！」

破壊された扉から入って来たのは兄の焦凍だった。
その後ろには心配して覗き込むＡ組の生徒たちもいた。

「大丈夫か？いったい何があったんだ？」
「え～っと……なんていうか、ピンチを爆豪君が助けてくれました？」

おおまかに説明して爆豪を指せば、焦凍の顔が曇った。

「……なんで爆豪が」
「スマホでね……咄嗟に助けを呼んだの。画面を見ずに手探りだったから、誰に掛けるかまではちょっと……」
「……そうか」

とりあえず良かったと抱きしめられたので、Aも兄の背中に手を回した。
その間、焦凍は無言で爆豪を見据え、爆豪もまた、無言で焦凍を睨みつけていた。

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