雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ25)

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どこへいく？ページ25

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Aは車に乗って見慣れぬ街の景色を眺めていた。

(え～っと、私……どこに連れて行かれるの？)

ちらりと隣を見るが、爆豪の機嫌は見るからに悪い。
車の乗せ方も乱暴すぎてまるで誘拐された気分だった。

ベストジーニストと寺村の様子からして彼の独断行動ではないだろう。
しかし何の説明もないAには、この状況が不可解だった。

(は……っ！もしかしてっ、役立たずな私を追い出すため！？)

本日の自身の行動を顧みて顔を青くする。

Aが犯した数々のミスは周囲にも影響しただろう。
職場体験だからって大目に見てもらえるなんて考えは甘い。
追い出されて当然だ。

「──オイ」
「え……っ！あ、はい！」

ついにその時がやって来たか！と体を固くして身構える。

「お前、そのジーンズ脱げ」
「…………へ？」

何を言われたのか一瞬、理解できなかった。

ジーンズを脱げ？
こんな狭いところ、しかも爆豪の隣で？

「そそそ、それはどういう意味──」
「良いから脱げ。そのまま面会に行く気か？」
「え？面会……？」

今日初めて聞かされた単語を復唱してきょとんとする。
そんな中、運転手が口を開いた。

「もうすぐ保須市の病院に着きますよ」
「保須市って……まさか……」

その後、数分もしないうちに保須総合病院の駐車場についた。
車を降りたAは病棟を見上げる。
爆豪は助手席の扉を開けて大きめの紙袋を取り出した。

「それは？」
「見舞いの品もなしに面会にいく気か？ベズトジーニストから持ってけって言われてんだ。おら、行くぞ」

病院に入った爆豪は受付を通り越してエレベーターホールに向かった。

２人で並んで静かに到着を待っていたが――

「あ゛ーーっ！なんでこの俺がアイツらの見舞いになんか！！やってらんねーわっ！」
「うぇ……っ！？」

突然、苛立った声を出した爆豪が持っていた紙袋をAに押し付けた。
反射的に受け取ったAは中を見る。
ベストジーニストのオフィスの名前が施された包みが３つ入っていた。

ポン、と音が鳴ってエレベーターが到着した。
扉が開いたが爆豪はそれには乗らず、くるりと背を向ける。

「あの……爆豪君？」
「面倒くせーからてめーに押し付ける」
「え？」
「はよ行って来いっ！！」
「え？で、でもどこに！？」
「──チッ」

爆豪は気怠そうに病室の番号を告げた。

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