雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ3)

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録画ページ3

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Aは家の中に兄の姿がないことに首を傾げた。

「ねぇ、お姉ちゃん。焦凍は？」
「お母さんのところに行ったわ」
「ふぅん。…………え？」

何ともなしに返事をしたが、数秒経ってから言葉の意味を理解して疑問の声を漏らした。

お母さんのところ？
つまり病院？

「な、なんでいきなり？」
「さぁ……私もよく分からない。はいどうぞ。熱いから気をつけてね」

Aの体調を気遣って、胃に優しいうどんが出された。
ほかほかと湯気を立てるそれを、息を吹きかけながら口へと運ぶ。
その姿を冬美はにこにこと眺めていた。

「なんか嬉しいなぁ、Aがここにいるの。病院でしか会わないもんね」

姉とは母のお見舞いでタイミングが合った時に何度か会っている。

その度に「たまにはこっちに帰っておいで」と言われていたが、Aは「そのうちね」とはぐらかしていた。

「……ねぇ、体育祭ってどうなったの？」
「録画してあるから見る？ Aと焦凍の試合もちゃんと録ってあるわよ」
「結果だけ教えてもらえれば良いんだけど……」

目も当てられない無様な試合なんて見たくない。
そんなAに冬美は意地悪な笑みを向けて、てきぱきと再生の準備を始めた。

「私は見たいから第一種目から順番に再生するね～。実はちゃんとまだ見てないの」
「うぅ……」
「新聞に『エンデヴァーの息子と娘！氷と炎の双子対決！！』ってけっこう大きめに載ってたから、どんなのか楽しみね」
「あああああぁ……」

気遣いのカケラもないメディアによって、双子ということが同世代の耳にも確実に入ってしまった。
休み明けに登校するのが憂鬱になり、頭を抱えた。

Aの思いも知らず、体育祭をリアルタイムで放送していた録画は、爆豪の選手宣誓から始まった。

ブーイングを受ける爆豪を見ながら「面白い子がいるのね」と笑う姉に「そうだね」と答える。

姉は活躍する生徒たちを楽しそうに観戦していた。
第一種目の最終関門ではAの氷のトンネルを「すご～い！」と拍手をして褒めてくれた。

それから騎馬戦。
焦凍と緑谷の勝負は白熱するほどすごかった。
予定通り緑谷のチームに入っていたら、Aはどう動いていのただろう？
もしかしたら、そこで炎の個性を披露していたかもしれない。

「騎馬戦、迫力あったね。Aも頑張ってたね～」
「はは……」

ほとんど記憶はありませんが。

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