雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ12)

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相談ページ12

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１人でぐるぐると悩んでいたのは確かだ。
まさかそれを爆豪に見抜かれているとは。

そんな素振りを見せているつもりはなかったのに。

しかも、遠回しに相談しろと言っている。
相談したところで「くっだらねー」の一言で笑い飛ばされそうだけど。

話すまで逃がさないという視線を受けて、おずおずと口を開いた。

「……ねぇ、爆豪君はどうして雄英のヒーロー科を受験したの？」

いきなり本題に入るのは怖いので、あえて質問という形をとることにした。

「はンっ！くっだらねーー！！」

……笑い飛ばされた。
そして自信に満ちあふれた表情でこう宣う。

「決まってんだろ。俺はいつかオールマイトを超えるトップヒーローになる……！んで、高額納税者ランキングに名を刻んでやんだよ！」
「…………へ？」

Aは言葉を失った。
敵もドン引きするほどの悪人面に……ではなく、その答えに。

普通はかっこいいヒーローに憧れてとか、困ってる人を助けたいとか、そういう夢のあることを掲げて目指すのに。

なんだ、この夢も希望もない目標は。

「ふふ……、そっか。そうだよね……、ふふっ」
「あン？」

突然、笑い出したAに爆豪は眉を上げて睨みつけた。
自分の宣言にケチを付けられたのかと勘違いした彼に、Aは「違うの、ごめん」と訂正する。

悩んでいた自分が馬鹿みたいだった。
なんで雄英を受けたのか。
その質問をしてから思い出したのだ。

(私が雄英の経営科を受験した理由……)

吹っ切れた表情で空を見上げた。
細かい草が生えた地面を軽やかな足取りで数歩前に進み、くるりと爆豪に向き直った。

「私ね、エンデヴァーヒーロー事務所より有名な事務所を作ってやろうと思って経営科を選んだの」
「は？ ……なんだそりゃ」
「私が事務所を立ち上げたら、爆豪君を雇ってあげても良いよ」
「いらん」
「え～～遠慮しなくても良いのに～。爆豪君じゃ事務所の経営なんて無理だよー」

人を雇ったとしても、みんなやめてくよーと挑発してみる。
彼と一緒にやっていける人間は限られているだろう。

「あ゛ぁ！？だったら……」

爆豪が大股でAとの距離をつめる。

「俺の事務所でお前を雇ってやる。一生な」

一生とはまた太っ腹な。
有言実行してくれそうなので、将来の就職先に心配はなさそうだ。

「……ふむ、それも悪くないね」
「ふんっ」

Aの答えに、爆豪は満足そうに鼻を鳴らした。

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