雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ11)

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悩みページ11

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話をしようにも、食堂は落ち着いて話ができる状況ではなかった。
それは爆豪も承知のようで、無理に聞き出そうとはしない。

無言は気まずいので、話のタネに「体育祭、１位おめでとう」と賞賛の言葉を贈った。
本人はその成績に納得していないので、きっと面白い反応をしてくれるだろう。

「選手宣誓のフラグ回収できてよかったね」
「クソが……っ！！」
「あはは」

予想通り、ものすごい剣幕で麻婆豆腐を貪りはじめた。

口を開けて笑っていると、口の中に何かがつっこまれた。
味覚を刺激するそれは爆豪が食べていた麻婆豆腐だ。
しかし辛さが尋常じゃない。

「なに、これ……っ、辛……っ、げほっげほっ」
「めっちゃ辛くするように注文した」
「これを涼しい顔して食べ続けてたの！？信じられないっ」

涙を浮かべながら咽せるAは、水とオムライスで辛さを誤魔化した。

周りの視線を気にする余裕はなくなっていた。

＊＊＊＊

本日の授業が終わり、Aは例の場所へ向かった。
昼休みはＡ組の生徒がいるらしいが、放課後は静かなものだった。

その場所に足を踏み入れると、腕を組んで壁に寄りかかる人物がいた。

「おっせーんだよ、クズが」
「ホームルームが長引いたの」

約束したわけでもないのに、当然のように待っていた爆豪に「ごめん」と謝る。
爆豪の隣に立ち、同じように背中を壁に預けた。

「えっと何から話せば良いやら……」

なんていうか……話しづらい。
爆豪が他人の話に耳を傾けようとする姿勢でいることが、まず慣れない。
質問してもらえた方がまだ答えやすいのに。

何もない空間を見ていた爆豪が、“はよ話せや”と言いた気に視線だけをこちらに寄越した。
心の準備もままならないが、待たせるのも悪いので覚悟を決める。

「その……噂通り、私はエンデヴァーの娘で、焦凍とは双子の兄妹で……。小さい頃に叔父さんのところの養女になって……とまあ、いろいろと複雑で特殊な環境に身置いてまして……」
「あーー……もういい」
「……え？」

ぎこちなく自分のことを話しはじめたところで爆豪は容赦なく中断した。
話せと言っておきながら“もういい”だなんて、自分勝手にも程がある。

ムッとしたAは、こうなったら無理矢理にでも聞かせてやると意志を固めた。

「聞くならちゃんと聞いて！私が小さい時に、」
「──で？お前は何に悩んでんだ？」
「えっ？」

思わず目を見開いて、隣を見上げた。

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