雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ38)

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スマホページ38

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カーディガンを脱いで膝の上で汚れた部分を払っていると、す……っと爆豪の手が伸びて来た。

「オイ、スマホ寄越せ」
「え？ちょ……っ」

カーディガンのポケットから出して地面に置いたスマホを、許可もなしに爆豪は攫っていった。

指紋認証もしくはパスワードのロックがかかっているので、簡単には中身は見れない。
──と思っていたら、画面のロックは爆豪の手によって、いとも容易く解除されていた。

「な、なんで分かったの！？」
「分かりやすすぎなんだよ、少しは捻れやブラコン女」
「うぐ……」

Aのスマホのパスワードは「４４１０」で設定していた。
兄の名前の“しょーと”を数字化したものだった。
本人にも教えてないのに、この男に簡単に推理されたことが悔しい。

「もう、変なことしないでよ」
「ホーム画面も半分野郎かよ、きも」
「うるさーーい！！」

兄とツーショットの待ち受け画像をバカにされてムカッときた。

返せー！とスマホを持つ手に飛びつくが、ひょいと軽やかに避けられる。
さすがはヒーロー科、反射神経は申し分ない。

Aの手を回避しながらも爆豪は器用にスマホを操作していた。
さっと立ち上がって耳にスマホを宛てる。

(人のスマホでいったどこに！？)

いたずら電話なら相手に迷惑なのでやめて欲しい。
A自身も被害を被るので困る。

力ずくでも奪い返そうとするが、ピンと伸びた腕に阻まれる。
頭を掴まれているAは、リーチが足りなくてスマホに届かない腕をパタパタさせるだけだった。

爆豪のスマホが音楽を鳴らした。

「ほら、爆豪君！自分のスマホ鳴ってるよ？」
「鳴らしてんだから当たり前だろボケ」
「え？」

いたずら電話の相手は爆豪？
……じゃなくて、なぜ自分のスマホにかける？

「あ、もしかして、自分のスマホ探してた？ちゃんとポケットにあるじゃーん。頭に眼鏡をのせて探しまわるおじいちゃんみたいだね」
「あ゛あ！？んなわけねーだろ！！」

爆豪はAにスマホを投げて返した。
胸元に飛んで来たそれを落とさないようにしっかりキャッチする。

「おっと」
「……なんかあったら呼べ」
「うん？爆豪君に用はないと思うけど……？」
「ウッセーーっ！！いいからっ、わかったな！？番号も消すなよっ」
「う、うん……」

口答えは許さないと言わんばかりに捲し立てる爆豪に、Aはためらいながらも頷いた。

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