218 ページ33
.
「せめて今日だけでも寮まで送る」と言う轟君を振り切ってD組の寮に戻った次の日の朝。
アラームが鳴っても布団の温もりを手放せなくて、ようやく朝の支度が整った頃には生徒が登校し始める時間になっていた。
制服の上にコートを着て、お気に入りのマフラーと手袋をつけて急ぎ足で寮を出る。
寒いのがあまり得意ではない私は、寮から学校までのちょっとした距離でも防寒を徹底しないと寒さで凍えてしまう。
教室に入れば快適なんだけど、それまでが辛い。
早く教室に入りたーい。
靴を履き替えて教室に向かおうとした、その時だった。
「八千代さーん！」
「……え、ゆ──……わ、和楽さん？」
反射的に夢主ちゃんと口にしそうになってどうにか誤魔化せた。
びっくりした……インターンから帰ってたんだ。
平和が……束の間の平和が遠ざかっていく。
「おっはようー！」
朝から上機嫌に挨拶をする夢主ちゃんは、轟君を引き連れて私のもとへとやってきた。
やめてよ、そんな満面の笑みで話しかけないで。
仲がいいと思われるじゃない。
「ねえねえ、連絡先教えて欲しいんだけど！」
「は？」
何をいきなり。
私は隠すことなく不信感を全面的に漂わせたのだが、夢主ちゃんは構わず話を続けた。
「私、インターン先でモデルの仕事をしてたんだけど、その時に読者モデルの男の子と話す機会があってね。なんと！その中に八千代さんを知ってる人がいたの！」
周囲に聞こえるように“モデルの仕事”を強調して自分の活躍を自慢する夢主ちゃんは、にっこり笑って視線を私から轟君に移した。
「聞いて聞いて焦凍君。八千代さんね、小学校の頃にすっごくいい感じの男の子がいたんだって！付き合ってなかったみたいだけど、ほとんど両想いみたいな感じで周りからも公認の仲だったって！」
「……」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4609人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
原作の知識を与えられたからには全力で関わりを拒否します。【ヒロアカ】 2.原作の知識を与えられたからには全力で関わりを拒否します。【ヒロアカ】 6.原作の知識を与えられたからには全力で関わりを拒否します。【轟焦凍】
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルカ(プロフ) - 凄く面白かったです！続きって、もしかして書いてる途中とかですか？もしよろしければパスワードを教えて欲しいのですが…… (2022年12月17日 15時) (
レス) @page47 id: beae32e85e (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶蘭 - とても面白いです！ もしよければパスワード教えてくれませんか？ (2022年12月1日 18時) (レス) id: a09ef68964 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - パスワード教えてください (2022年11月27日 12時) (レス) id: 228e003102 (このIDを非表示/違反報告)
ONE(プロフ) - おもしろすぎて一気読みしました！！続きが気になるので良ければパスワード教えていただけますか、？ (2022年11月22日 2時) (レス) id: 84fb9e1ce2 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - すごく面白かったです!!!なんでこんなに面白い作品が書けるんですか!?尊敬しかないです、2日で読み切りました！良ければパスワード教えて頂けないでしょうか？ (2022年11月21日 21時) (レス) @page47 id: ec9644f59b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑪瑙
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2020年10月12日 0時
