雪と炎のシンフォニー【倉庫】 (ページ7)

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【番外編０２】ある晴れた日の【後日談】ページ7

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ある晴れた日の放課後。
Aは中庭奥の秘密の場所にいた。

レジャーシートに座り、壁に背を預けて読書をしていた。
ぽかぽかとした気温と頬を撫でる風が気持ちいい。
それがあまりにも心地よくて、文字を追っていたAの瞳は、いつの間にか閉じられていた。

ふわふわと漂う意識の中、草を踏む音が耳に届く。
その音の主が間近に──目の前に迫ってきたと感じて、Aはぱちっと目を開けた。

「おそーい」
「うるせー」

鼻先が触れそうな距離にいる男──爆豪勝己に向かって文句を言う。
しょぼしょぼとした目を擦りたいのに、目の前にいる爆豪の顔が邪魔だ。

「勝己君、近いから」
「あっそ」

──離れて、と言う間もなく口を塞がれた。
彼の唇で。

Aはそれを無抵抗に受け入れる。
数回ほど重ねて離れを繰り返して、爆豪の体は離れていった。
見せつけるように自身の唇を舐める仕草が艶かしい。
Aはそれを見つめながら小さくあくびをした。

「てめー、無防備すぎんだよ。こんなところで寝やがって」
「ちゃんと警戒してたよ。勝己君だって分かってたからすぐに起きなかったの」
「あっそ」

まだ部分的に濡れている髪と微かなシャンプーの香りが鼻をかすめる。

「シャワー浴びてきたの？」
「戦闘訓練の授業で派手に汚れちまったからな」
「そう……」

Aは爆豪の汗の匂いが好きだった。
それが学校に常備されているシャンプーにかき消されるなんて非常に残念だ。

「えいっ」

勢いをつけて首の後ろに手を回し、首筋に顔を埋めるように抱きつく。
自分の好きな匂いが僅かでも残っていないかと期待して。

縋りついてくる愛しい存在に、爆豪は何も言わずただされるがままでいた。

「ねぇ、勝己君」
「あン？」
「焦凍の戦闘訓練はどうだった？格好良かった？Ａ組の皆はいいなぁ、私も見学したかったなぁ」

両想いになってもAのブラコンは相変わらずだった。
爆豪の眉間にだんだんとしわが寄っていく。

「……てめー、次に舐めプ野郎の話したらマジ殺す」
「あはは──んむ」

今度はさきほどと違って、深く甘い口づけが降ってきた。

【番外編０２】了

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