雪と炎のシンフォニー【倉庫】 (ページ6)

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厳しい条件ページ6

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誰も止めるものがいないAと緑谷の会話は、今や体育祭のトーナメントにまで及んでいた。

「決勝で轟君がかっちゃんと本気で戦ってたらもっとすごかっただろうね」
「ね。当然、私は焦凍が勝つ方に賭けるけど」
「ああ！？ンだとコラっ！！俺の方が強いわ！！」

このあたりでようやく爆豪が口をはさんだ。
焦凍より劣っていると言われて相当お怒りのようだ。

「私、条件さえ揃えば爆豪君の個性を出せなくできるよ」
「……どういうことだ？」

Aが自慢げに言うと、爆豪が低い声で詳細を尋ねた。
普通の人間ならここで白状してしまうだろうが、Aは動じないどころか挑発的に笑ってみせた。

「爆豪君の弱点、見つけてみろって言ってたでしょ？見つけてみました」
「はァ！？言ってみろや」
「言うわけないでしょー」

爆豪の個性の鍵は“汗”だ。
ならば“汗”を奪ってしまえば良い。
極端な暑さと寒さを利用すれば汗を止めることができるらしい。

Aの個性ならそれが可能だ。
多少時間を要するが、成功すればこちら側が優勢に立つことができる。

「はンっ、個性を使わなくたって俺はてめーに負けねーよ」
「うん、そうだね。私、接近戦は苦手だし、個性で遠距離攻撃してても結局は私のスタミナ切れでリタイアかなー……」
「もっと根性見せろやっ！」
「えぇ～……」

言ってることがめちゃくちゃだ。
無理なので潔く負けを認めます～！とそっぽを向く。

緑谷と切島は２人のやりとりに苦笑いしていた。

「ねぇAちゃん、最後に訊いて良い？」
「なに？切島君」
「結婚するならどういう人が理想？子供の個性関係なしで」

子供の個性は関係なく、理想の人。
ならば決まっている。

「焦凍より格好良くて焦凍より優しくて焦凍より個性が優秀な人かな」
「ああもうでたよブラコンっ！！っていうかいるか！？そんなヤツ！」
「さあ？焦凍より格好良くて優しくて個性が優秀な人なんているのかな？」
「条件厳し～なァ……」

　Aの個性婚発言からむすっとしていた焦凍の機嫌がやわらいだ。

「だからね、私が将来結婚したいと思うのは……」

そんな人がいつか現れるのだろうか……、なんて思いを巡らせながら焦凍に抱きつく。

「焦凍よりも好きになった人、かな」

大好きな兄よりも、もっと好きになれる人ができる、その日まで──

【番外編０１】了
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