雪と炎のシンフォニー【倉庫】 (ページ5)

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理想の個性ページ5

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Aが理想の個性を語っていると、焦凍がわざとらしく咳払いをした。
言葉を止めて見上げれば、諌める視線が降ってくる。

「親父みたいな考え方はやめろ」
「やだなぁ、私はお父さんとは違うよ。個性を生かすか殺すかはその子次第だよ」

でも将来自分が経営する事務所のヒーローには欲しいと思っている。
父親を反面教師にして、素直で優秀なヒーローに育て上げる算段をつけるつもりだ。

「なぁなぁ、爆豪の爆発とか、……どう？」
「爆豪君？」

切島が少しにやけた顔で尋ねた。
Aは「ん～……」と小さく声に出して考える。
話のタネにされた爆豪は人を殺せそうな鋭い視線を切島に向けていた。

「爆破って…………炎と被ってない？」
「あっ、確かにっ！」
「俺の個性をそんな没個性と一緒にすんなっ！！」

切島が同意すると、ダンッと机に拳を叩き付けて爆豪は怒鳴った。
一斉に周囲の視線が集まる。

「かか、かっちゃん！図書室では静かにしないとみんなに迷惑……」
「うっせー！クソナードが！！」

本の返却を終えた緑谷が注意しながらこちらに向かってくるが、爆豪は聞き入れることなくさらに怒鳴りつけた。

「爆豪君っ！図書室ではお静かに！」

緑谷に牙を剥く爆豪の口元に人差し指を置いて、静かにするように要求する。

「…………――チッ」

目を合わせて数秒見つめれば、爆豪は舌打ちをして大人しくなった。

「でもペアとしては相性がいいかもね」
「何の話？」

今までの会話の内容を知らない緑谷が尋ねる。

「優秀な個性を受け継がせるためには、私の結婚相手は誰が理想的かなって話してたの」
「へぇ……」

緑谷が焦凍に視線を送る。
何が言いたいのか察した焦凍は「仮定の話だ」と注釈をいれた。

「爆豪君の爆破と私の炎が発現したとしてよ？個性は違うにしろ同系統だし意味なくない？」
「確かに。炎と爆破は違うけどやっぱ似てるし……。それだったら他の個性を取り入れた方がもっと使いようが……」
「うんうん」

緑谷がぶつぶつ言い出した独り言にAは力強く頷いた。

「１人の人間が両方を扱うよりも、それぞれの個性を持った２人でサポートし合った方がより力を発揮できるんじゃ……」
「それ！それが言いたかったの！」

緑谷が加わってさらに話は盛り上がった。
それによって蚊帳の外の３人は「あ、この２人一緒にしたら駄目だわ……」と心を共にした。

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