雪と炎のシンフォニー【倉庫】 (ページ2)

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図書室ではお静かにページ2

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放課後、借りていた本を返すためにAは図書室に向かっていた。
レポートのためにと借りたが、必要がなくなった本だ。
それでも今後のためになりそうだったので、貸し出し期間ギリギリの今日まで読んでいた。

カウンターへ向かい「返却」と書かれた箱の中に借りていた本を置く。
用事はこれで終わり。

さて図書室を出ようか、というところで──

「んなもんも理解できねーのか、アホ！！」
「いや、もっと分かりやすく教えてくれよっ」

(……ん？)

図書室では静かにという暗黙のルールを堂々と破る２人の男子生徒の声。
聞き覚えのあるそれらの声に室内を見渡せば、怒鳴る爆豪と頭を抱える切島がいた。
ノートと教科書を広げた机で向かい合っている。
試験勉強だろうが、それにしては煩い。

周りを気にすることなく大声を出すＡ組の問題児に、周囲の人間はおろか図書委員までもが怖くて注意できない始末だった。
Aはため息をついて騒がしい机に向かう。

「ちょっと、図書室ではお静かに」
「あン？」

口元に人差し指をあてて、お決まりの文句を言う。
何か言いたそうに眉を歪めた爆豪は舌打ちをして顔を背けた。

「２人とも試験勉強？」
「あ、Aちゃん！」

頭を抱えていた切島が顔を上げてぱっと表情を明るくした。
手元のノートを見ると、どうやら数学の応用問題で躓いているようだった。

「聞いてよAちゃん！さっきから酷いんだぜ？これどーすんのって訊いても“ばーっと解けや”とか“見りゃ分かるだろ”とか抽象的でさ！」
「あー……うん」

想像に容易い。
自分は理解できてもそれを人に教えるのが苦手な人間はいる。
わかりやすいほど爆豪はそれに当てはまっているのだ。

「Aちゃん、どうしたら良い点とれるの？経営科トップの勉強法を教えて！」
「え～っと。まず教科書を丸暗記します」
「無理難題きた！！」
「それから先生をストーカーして趣味趣向を観察した上で、試験にどんな問題が出るかを推測します。これで完璧」
「…………ごめん、俺たち一般人にもできる方法をお願いします」
「あはは～」

適当な冗談を口にすれば、切島は悲愴な表情で項垂れた。

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