愛することすら、許されない３【爆豪勝己】 (ページ9)

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★★ ページ9

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　Aは大人しく俺の腕の中に収まりすやすやと眠っていた。

　それはそれは穏やかに。安心しきった寝顔が憎らしいほどに。“抱く”を意味深に捉えたAは随分焦っていたみたいだが、俺がただ抱きしめて寝たいだけと理解してからは、眠りにつくのが早かった。

　信用されているのか？それはそれで考えものである。俺だって男だ。目の前に好きな女がいるっつーのに何もしない保証はない。だというのに……。

「ん～～……ぅ」

　むにゃむにゃと口を動かしながら無防備にその寝顔を晒していた。俺の腕を枕代わりにして穏やかに寝息を立てる。

　こんなんでよくもまあ今まで誰にも手を出されずにいたもんだ。告白はされていたみたいだが。

「“私の恋人はダイナマイト”……なぁ」

　思い出した言葉をため息まじりに呟く。それはコイツが言い寄られていた男に言っていた断り文句らしい。

「“俺”じゃなくて“ダイナマイト”……か」

　そこに意味はあるのか。ないように思えるがAの中で明確な線引きがされているようで、その境界線を踏み越えてしまうと、俺が尽力して築きあげてきたものがごっそりと崩される。本当に厄介な奴だ。

　当面の目的はその境界線を見極めること──いや、それ自体をなくして俺を受け入れさせることだ。たくさんのものを抱え込んだこの女の心を全て俺に向けさせるために。

「はぁ……俺がここまでしてやってるっつーのに」
「ぅっ」

　軽く額をくっつけて小突くと小さく声が漏れた。Aは一瞬眉を寄せて不快な顔をしたが、何もなかったかのように表情は穏やかなものに戻っていった。

「てめーは余計なこと考えねーで素直に頷いときゃいーんだよ。バーカ」
「んぅ……？ばく、ごう……さん」

　閉じられていたゆっくりと、Aの瞳が開いた。しかし半分開いたところでまた閉じる。

「好き……ですわ」
「……………………………………っ、あ～～……もう、クソ！」

　口元を緩ませながら自分から体を寄せるAに、心臓が止まるかと思うくらいに動揺した。これはただの寝言。本人は覚えていないというタチの悪い。

　寝てる時だけ素直になりやがって……。覚悟してろよ。そのうちぜってー起きている時に言わせてやるから。

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　だというのに──……

「ばくごー、Aちゃんに避けられてるんだって？」
「……ウルセェ、黙れアホ面。死んでろ」
「ひでぇ！！」

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