愛することすら、許されない３【爆豪勝己】 (ページ38)

今日:8 hit、昨日:11 hit、合計:64,315 hit

★★ ページ38

.

　そうやって外堀を埋めていき、認めてもらえるように奮闘した結果、

「あとはお前の意思だけだ」
「いつのまに！？」
「てめーがぽけーっと研究にのめり込んでる間にだ」
「う……すみません」
「なんで謝んだよ。開発したサポートアイテムが学会で認められたんだろ？おめでとさん」
「お、恐れ入ります……」

　ヒーローランキングの上位をキープしていたおかげで、Ｉ・アイランドの情報を少しだけ得ることができた。コイツとゴーグル女が作っていた空を飛べるサポートアイテムが、実用化に向けて順調に進んでいるとかそういう噂くらいだが。

「俺に言わしてみりゃ、そんな大事な時期にこっちに帰って来たのが驚きだわ」
「日本に帰るならタイミング的に今しかないと思ったので……。研究はすべて明に託しました。まだ課題はたくさんありますけど、あの子と開発チームの方たちなら大丈夫ですわ」

　Aがそう言うのなら、俺に口出しする権限はない。俺の側に戻って来たのなら、そんなことはどうでもいい。

「話を戻すが」
「はい」
「今日は俺がお前を独占していいんだな？……いや、明日もいいようになたんだっけ」
「え……あ、」

　逃げられないように腰に手を回し、己へと引き寄せる。俺の言いたいことを察したAは顔を赤らめて視線を逸らした。

「とりあえず、ベッド行くか」
「べ、べべ、ベッドって！？あ、仮眠ですか？でしたら私は邪魔しないように今日はこれで……」
「……」
「無言で私を担ぎ上げないでください！」
「わかりやすいとぼけ方するからだ。ここに来たってことは覚悟できてんだろ」
「うぅ……まあ、可能性は考えなくもありませんでしたけど」

　観念したとばかりに大人しくなり、俺に体を預けるように力を抜いた。抵抗する意思が薄らいだと理解し、Aの抱え方を横抱きへと体勢を変える。

「明日、買いに行くか。婚約指輪」
「え！」
「好きなん買ってやるからどんなのが良いか考えとけ」
「……はい」

　やっと素直に頷いたので俺はAを抱く腕の力を強めた。近いうちにAの両親のところに挨拶に行って、自分の両親にも紹介するついでに結婚の報告に行くか。

「A」
「はい」
「好きだ。……いや、愛してる」
「……ええ。私もですわ、勝己さん」

　その答えを聞いて俺は口角を上げる。

　今まで待たされていた分、充分に愛し尽くしてやる。覚悟しとけ──……と。

.