愛することすら、許されない３【爆豪勝己】 (ページ4)

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　ヒーローは人を救う仕事だ。平和のために戦い、社会に貢献する。誰もが一度は憧れて目指そうとする職業だ。

　けれど、時には命を落とすこともある。悪質なヴィランとの交戦は特に死亡率が高い。

　だから私は彼らを守りたいと思ったのだ。

☆

「──……そのヒーローのせいで俺の父は訴えられた」
「訴えられた？」
「サポートアイテムのメンテナンスを怠ったことでヒーローを失ったと、ヒーロー事務所から多額の賠償金を要求された」

　そうだ。彼はサポートアイテムの故障で命を落としたのだ。私はそれを許せないと思っていた。でも真実は──……

「もちろん説明はした。しかし裁判所はまともに取り合うことなくヒーロー事務所の主張を優先した」
「……」
「父は不良品製造者のレッテルを貼られて会社を追い出された。知名度が上がってきたことが災いしてどの企業にも受け入れられず、ついには自らの命を絶った」

　亡き父親を悼むように胸に手を当て、教授は目を閉じた。

「だから俺は……」
「その根源である私に復讐を？」
「まさか！」

　私の予想に反して彼は力強く否定した。

「俺はニュースを見て思い出した！！十五年前の怒りを！憎しみを！俺は復讐する！あの事件に絡んだヴィランたちに！！」
「！？」
「そのためには君が必要だ」
「私が……？」
「ああ。君の個性は魅力的だ。構造を理解すればなんでも作れる。毒薬だって爆弾だって！！」
「私はそんなことをするために個性を使いません！！」
「そんなことはない」

　近く彼は私の目線に合わせるように体を屈ませた。

「君だって憎いだろう？助けてくれたヒーローの命を奪われて」
「それは……っ、」

　憎くないわけはない。許すつもりもない。でも……。

　言葉を詰まらせている私に優しい笑みを浮かべた教授は、白衣を翻して部屋を出ていこうとした。

「どこへ……」
「Ｉ・アイランドを発つなら、先日の雷雨でセキュリティーレベル落ちている今がチャンスだ。計画通り八百万家のジェット機が手に入った。神は俺に味方している！！」
「待ってください！」

　私の言葉を遮断するように部屋の扉は閉められた。

「待って……」

　止めなくては。そう思うのに。手足に重しが着いているのではないかと疑うくらい、体は私の言うことを聞かなかった。

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