愛することすら、許されない３【爆豪勝己】 (ページ27)

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☆★ ページ27

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　待望のエキスポは、長い準備期間が嘘であるかのようにあっという間に過ぎていった。
　私たちのベイビーは多くのサポート会社の目に止まり、想像以上の好評を得た。

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「はぁ……終わってしまいましたね」
「ええ。今日までお疲れ様でした、明」
「Aの方こそ」

　展示室の片付けを終えて研究室に戻ってきた私とAは、お互いに労いの言葉をかける。

「これで、終わり……ですわね」

　寂しそうに呟くA。そうだ、エキスポが終わってしまった。それはつまり──……

「勝己さんと、お別れなんですね」
「A……」

　完成した籠手を前にして涙を零すAに、私はそれ以上の言葉をかけられなかった。

　はやくエキスポの日が来てほしい。……いや、来てほしくない。
　相反する感情に押しつぶされそうになっているAを私は見てきた。
　でもそのせめぎ合いは終わり。……本当に、何もかもが終わるのだ。

　明日、ダイナマイトは緑谷さんとともにこの都市を去る。

「もう勝己さんとは、会えないんですね……っ」
「……」

　その姿が痛々しくて、私は彼女の体を抱きしめた。
　カチャッとドアノブが動く音がして扉が開いた。

「……A」

　タイミングが良いのか悪いのか。ダイナマイトが研究室に訪れた。私に縋って肩を震わせるAを迎えに。
　ダイナマイトは状況を察して戸惑いを見せたが、すぐに表情を戻して部屋に入ってきた。

「A、ばーさんが晩飯用意して待ってるって。……帰んぞ」
「勝己さん、……はい」

　差し伸べられた手に細い手を重ねてAは涙を拭った。

「……すみません」

　背を向けた彼らに小さく呟く。

　A、あなたは感情を押し殺して心の壁を作っていました。いずれ別れの時が来るなら寂しくないように。なのに私がそれを壊すきっかけの一つとなってしまた。せめて彼がいる間は幸せな時間を過ごしてほしい……と。

　それが幸せ以上の悲しみを別れを産み出すとも考えずに。

「ゴーグル女」

　Aを連れて研究室を出ていこうとしたダイナマイトが振り向く。

「……ありがとよ」

　ダイナマイトがお礼の言葉を口にする。それに合わせてAも私に向かって微笑んだ。

「え、」

　私は驚きました。まさか……あのダイナマイトの口から感謝の言葉が出るなんて……。明日、飛行機が飛べないように悪天候にしようとする企てなら面白いんですけどね。

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