愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ45)

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★☆ ページ45

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　僕はものすごい剣幕のかっちゃんに胸倉を掴まれていた。ちょっと……いや、だいぶ苦しい。

「……、」
「ああン？だんまりたァいい度胸じゃねーか」
「く……く、苦しくてまともに話ができないんだよ！」
「気合入れろや。軟弱が」

　気合でなんとかなるもんじゃないと思うんだけど！

「うぐ、待って待って話すから！ちょっとだけ力緩めて！」
「チッ」

　ちょっとだけ。本当に気持ち程度に力が緩んだ。Aさんのことを迂闊に口にしたばかりに……うぅ。

「じ、実はさっきまでAさんに会ってて……」
「あ゛！？ンでてめーがAと会ってんだよ。殺すぞ！」
「ちょちょちょ！タンマ！用があったのは発目さんの方で！同じ研究室にいたAさんにも必然的に会うことになっただけだよ！？」
「理由なんでどうでも良いんだよ。とりあえず歯ぁくいしばれ」
「理不尽！！」

　バチバチと小さな爆破を繰り返す手のひらにロックオンされて僕は必死に抵抗した。機嫌が悪いのはわかるけど、僕まで巻き込まないでほしい。切実に。

　かっちゃんは本気ではないにしろ(多分)、顔の近くで爆破はヒーローの僕でもビビってしまうほどの迫力だった。

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　そんなやりとりがあって数分後。“てめえの顔を正面から見てっと胸クソ悪くなるわ”という謎の理由で僕は解放された。

　これでようやくパトロールの報告書に手をつけることができるよ。他にもデスクワークが溜まっているから早く片付けなくちゃ。

　……──だというのに、そんな状況に限って着信が来る。

　ああもう忙しいのに。無視しても良いけど着信画面には発目さんの文字が表示されていた。さっきのメンテナンスに関してだろうか？

　特に異常はないように見えたけど、無理矢理取り上げたのはまずかったかな？念のため電話を受けた。

「もしもし？」
『……ァ、み、どりや、さん……』

　電話の向こうから聞こえてくるのは確かに発目さんの声だったが、その声色はゾンビが蘇ったようなものだった。

『……が、……たっ』
「発目さん？ごめん、僕まだ仕事が残ってるから用件があるなら手短に、」
「──Aが、」

　僕の声を遮るように発目さんは言葉を発した。

『Aが……、攫われましたっ』

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