愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ38)

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「──で？お前はソイツのことが忘れられなくて、俺の気持ちに応えられないと？」
「あの……爆豪さん？私(わたくし)、別に彼のことが好きだったわけでは……」
「わかっとるわッ！！」

　まるで“前の男が忘れられない未練がましい女”……みたいに表現されたのでやんわり訂正すると、ものすごい勢いで怒鳴られた。

　目の前であぐらをかいて腕を組む爆豪さんは、イライラした様子で私に質問を迫る。緑谷さんと話していた時のシリアスな空気は一瞬にして吹き飛んでしまった。

「かっちゃん、聞いてたの！？っていうか起きてたの！？」
「頭の上でごちゃごちゃ言われてたらそりゃ目が覚めるわクソが」

　爆豪さんは立ち上がり、上鳴さんの首根っこを掴んで緑谷さんに押し付けるように放り投げた。

「わっ」
「オイ、クソデク。そこのアホ連れて帰れ」
「え？」
「俺はこの女と話がある」
「え、え、でも」

　緑谷さんは私を見た。二人きりにして大丈夫なのだろうか、という心配の眼差しで。私としては爆豪さんとこの空気のまま二人きりになるのは勘弁してほしい。だから緑谷さんの気遣いに縋ろうとした──のに。

「とっとと出て行けクソが！！二度と来んな！！」
「ぎゃ、わ、え！？ちょ、爆破はやめて！わわ、ごめん！本当にごめーん！！」

　緑谷さんはあっけなく追い出された。爆豪さんの暴言とともにバタン！！と玄関の扉が閉まる音が無情にも耳に届いた。緑谷さんが発していた最後の謝罪は私へのものだろう。

「……」
「……っ！」

　リビングに戻って来た爆豪さんと目が合い、ビクッと肩が跳ねる。緑谷さんとの話を聞かれていたのもあって、今は冷静に受け答えできそうにない。

「あの……私、眠くなったのでそろそろ寝させていただきますね」
「逃げんな。──……いや、いい。話はベッドで聞いてやる」
「え！？」

　どうにかうまくこの場を躱せないかと苦し紛れに出た言葉だったが、爆豪さんはそうそう甘くはなかった。どころかさらに危機的状況に追いやられてしまった。

　手を引かれて向かう先は私の寝室……かと思いきや、ばあやが爆豪さんにと用意した部屋だった。

「ああ、あああの……っ」
「安心しろ。話をするだけだ」

　そうですか。だったらなぜ、私はベッドであなたに組み敷かれているのですか？

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