愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ33)

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　その日の晩、Aさんの誘いで夕食をごちそうになることになった。僕たちの入居祝い(？)として、マンションに常駐しているお抱えシェフのそれはそれは素晴らしい料理を振る舞ってもらった。僕も上鳴君も大満足。

　それからお酒を持ち寄って、いわゆる“宅飲み”に移行した。Aさんは「一度やってみたかったんです！」と興奮気味に喜んでいた。

　リビングルームでテレビを見ながら、ヒーローやエキスポの話題で盛り上がる。

　楽しい時間は過ぎるのが早く、夜も更けていった。Aさんの身の回りのお世話をしているばあやさんは自宅に戻り、今は僕たち四人。

「あ〜〜なんか小腹が減ったな」

　上鳴君が机に頭を預けて言った。それを耳にして僕も少し空腹を感じた。夕食から随分時間が経っているので仕方がないのだけれど。

　それじゃあ今日はお開きにしようかと提案しようとした時、

「キッチンに何かあるかもしれません。見てきますね」
「あ、いいよAさんっ」
「いえいえ。私(わたくし)も何かお腹に入れたいなーと思いまして」

　Aさんが立ち上がってキッチンに向かって行った。僕はその後を追い、ぞろぞろとかっちゃんたちもついてきた。

「炊飯器にごはんが入ってますね。今朝の残りでしょか。おにぎりにでもします？」
「お、いいね！」
「中身はどうしましょう？なにかありましたっけ……あ、この前、大学の友人にいただいたママーレードのジャムがありましたわ」
「待て」

　Aさんの奇妙な鼓動に、いち早くかっちゃんがストップをかけた。

「どうしました？」
「まさか違うとは思うが、てめー今おにぎりにジャム入れようとしたか？」
「この前入れてみましたけど、なかなかいけましたわよ？」
「実践済みかよ！！」

　かっちゃんがすかさずツッコミを入れているが、、僕と上鳴君は絶句していた。

「味音痴とかじゃねーだろうな！？」
「よく言われますけど違いますよ？偏食がないだけですわ」
「つまり、味がどうであろうと何でも食べれる……てか？」
「はい。幼い頃から好き嫌いはダメと言われて育ってきましたので、なんでも食べるようにしてきましたの」
「……その心意気は賞賛してやろう。だがそうじゃねえ！！」

　キッチンにかっちゃんの声が響き渡り、ちょっと酔いが覚めた。

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