愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ27)

今日:18 hit、昨日:3 hit、合計:82,230 hit

★☆ ページ27

.

「この前購入したフィギュアのクオリティーがとても良くて……何時間でも眺めてしまいますわ」
「わかる！あの会社はオールマイトのフィギュアも出しててさ！ポーズも忠実に再現されていて、僕も贔屓しているんだ」
「職人さんのこだわりが滲み出ていて良いですわよね！」
「うん！それでさ──、──」
「────！──」

　隣とその向かいの会話の応酬がすごい。全っ然ついていけねぇ。たまによく分かんねぇ単語とか出てくるし。

　Aちゃんが緑谷並のオタクだったことには驚いた。しかも対象がダイナマイト。いやいやすぐ横にいるじゃん？一緒に店に来たじゃん？

　緑谷もオールマイトに学校でほぼ毎日会えるのに、イベントの握手会に早朝から並びに行く奴だったけど。そういうもんなんか？

　爆豪はつまらなさそうに、Aちゃんが注文した料理を食べていた。俺も割り箸を伸ばして自分の小皿に移す。

「爆豪さ、どこに宿泊してんの？」
「あ？」
「ほら、俺たちほぼボランティアだからさ。往復の飛行機代は出してもらってっけど、ホテル代やらは自費なわけよ。まあ、旅行に来たと思えば良いんだけど、できれば節約したいっつーか」

　爆豪は俺たちより先にこの都市に来ている。長く滞在するんだから安いホテルに泊まっていると踏んで尋ねた。

「ホテルをお探しですか？でしたら私のマンションに滞在していただいて結構ですよ。爆豪さんもそうしていらっしゃいますし」
「は？」
「は？」

　俺と爆豪の声が重なった。

　緑谷と話していたはずのAちゃんが、俺たちの会話に紛れ込んできた。しかも美味しい話を持って。──じゃない！肝心なのは最後の一文だ。

「ちょっと待って！爆豪、Aちゃんとこにいんの！？」
「かか、かっちゃん、まさかの同棲！？」
「ホームステイです！」

　Aちゃんは食い気味に訂正した。それから、こほんっと咳払いをして仕切り直す。

「……その、よろしければですけど。いかがですか？緑谷さんも。下の階にいくつか空き部屋がありますので」
「僕までいいの！？」
「女神がいる……っ！」

　そのマンションはAちゃんの家が所有しているものだとか。爆豪は現在そこでお世話になっているらしい。ならば……と俺と緑谷は甘えた。それはもう遠慮なく。

.