愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ26)

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★☆ ページ26

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「ひとまず……か、乾杯！」
「かんぱーい！」
「乾杯！」
「……」

　居酒屋の個室で緑谷が乾杯の音頭をとって食事が開始された。

　Aちゃんと再会してご飯の約束をしたらしく(当然爆豪付きで)俺も便乗させてもらった。一気に飲むビールはウマい！

「どうした爆豪、むすっとしてさぁ。もっと盛り上がろーぜ！」
「……だりぃ」

　向かいに座る爆豪はなかなかにノリが悪い。俺の話には全く反応せず、緑谷と楽しそうに会話するAちゃんを見つめながら、ビールとつまみを口に運んでいた。

「ヒーローがいらっしゃると噂があったのですが、緑谷さんたちだったんですね」
「他にも何人か都合がついたら来るって言ってたよ。八百万さんも」
「本当ですか！あ、爆豪さん、ビール注ぎましょうか？」
「ん」

　爆豪のコップが空になっていることに気づいたAちゃんが、ビールの瓶を手に取って爆豪に傾けた。

　この二人、一年の夏休みにＩ・アイランドに来た時すんげぇ仲良さそう(？)にしてたような。あんまり関わってないからAちゃんの記憶は曖昧だけど、爆豪と対等に渡り合える女子っていう印象は強く残っている。

「爆豪さぁ」
「あン？」
「二ヶ月も早く来た理由って何？」
「別に。てめーには関係ねーだろ」
「関係ねーけど気になる！せっかくベスト８になってこれからって時にさ！まだまだ上を目指せんだから、こんなところでくすぶってないでもっと活躍してるところを世間に──」
「黙れアホ面」
「がはっ」

　冷めたおしぼりが顔面に飛んできた。避ける間もなく顔で受け止めた俺は「何すんだよ！」と文句を言った。

「俺がどこで何しよーが勝手だろ」

　しかし返ってきたのは、普段以上に不機嫌さを含んだ低い声だった。その形相に俺は思わず無言で頷いて一旦この場は引いた。

「オイ、A」
「は、はい！」
「これとこれ頼め。後これも。他に食べたいもんがあったら頼んでいーから」

　爆豪はAちゃんに注文用に設置されたタブレットを押しつけた。

「えっと……っ、これどうやれば良いんでしょうか？どど、どうしましょう！？注文数が２０になってしまいましたわっ」
「Aさん落ち着いてっ、ゆっくりでいいから！」

　見かねた緑谷がフォローを入れていた。

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