愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ25)

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☆★　負けず嫌いの君へページ25

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　月明かりが空を照らす頃、大学の研究室にて──……

「ああ、素敵……」
「A、ちょっと良いですか？」
「見てください明！このダイナマイトフィギュアのポーズと顔つき……」
「はいはい。それでですね、」
「これは都内で暴れていたヴィランの攻撃をギリギリで回避してから爆破の体勢に入ったところを表現したものですわ」
「ちょっと？」
「そこをチョイスするなんて、さすが……この会社は分かってらっしゃいますわ！！」
「おーい、A〜？」
「この！この上腕の筋肉の表現がたまりません、尊いですわ……っ」

　あ、だめです、完全にコレ自分の世界に入っちゃってます。この恍惚とした表情を見れば一目瞭然。う〜……ん、どうしましょう？ダイナマイトのフィギュアに見蕩れているAはしばらく戻ってこないので、熱が冷めるのを待つしか……——

　──ダンッ！！

「……っ！？」
「だったらその尊い筋肉で抱きしめたろか、あ゛あ！？」
「ば、ばば、爆豪さんっ！？」

　あ、爆豪勝己が切れました。本当に短気ですねこの人。

　今日はどこかに食事に行く予定があるようで、爆豪勝己が迎えに来るからと準備をしたのはいいのですが、待っている間に先日購入したフィギュアに目を奪われて、そのまま動かなくなった……というわけです。

「てンめー、すぐ近くに本物がいるっつーのに何こんなオモチャなんかにときめいてんだ」
「“なんか”とは失礼な……──ちょ、どいてください、近いですわっ」
「あ゛あッ！？」

　爆豪勝己は机に両手をついて背後からAに覆いかぶさっている。これ、なんていうんでしょうか。机ドン？……格好がつきませんね。でも小柄な女子を両手で囲い込んでいるから、シチュエーションとしては悪くないかと。

「なんだよ、好きなんだろ？オレの筋肉」
「もう！からかわないでくださいっ！」

　爆豪勝己が悪い笑みを浮かべて調子付いている。Aも本気で嫌がっているわけではないですし……どちらかというと恥ずかしくて照れている感じですかね？はぁ……何を今更、同棲までしておいて。いえ、ホームステイでしたっけ？どっちでもいいですけど。

「オラ、行くぞ」
「はい。それでは明、お先に失礼しますね」
「はいはい」

　これで付き合っていないと言うのですから、呆れるほかありません。

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