愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ19)

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「早く帰ってこいって、ばーさんからメール入ってただろうが」
「はい、すみません……。反省してます」

　リビングのソファーに座り、反省の意を表す。ローテーブルを挟んだ向かいには腕を組んで私に説教する爆豪さん。門限を過ぎて帰ってきた娘を咎める父親のようだと思ったが、そんな冗談を口に出せる雰囲気ではない。

「お二人とも、お食事の用意ができましたのでこちらにどうぞ」

　ばあやに呼ばれダイニングに足を運ぶと、いつも以上に気合いの入った食事が用意されていた。土日と特別な時だけお願いしているシェフの料理だ。テーブルの近くではワインを持ったばあやがニコニコと立っている。

「爆豪様、そんなにお怒りにならなくても。お嬢様が遅くなるのはいつものことですので。大学の方へ泊まり込む日もよくありますし」
「はあ！？泊まり込むだとォ！？」

　料理に手をつけようとしたタイミングでまた怒鳴られた。ばあやにとっては世間話のようなものだろうが、爆豪さんはその内容に強く反応した。

　ギロリと睨まれてお肉を切る手が止まる。

「べ、別に驚くことはないかと……。提出期限に近づくと皆してますし……」
「何かあったらどうすんだ！！不審者が入ってきたりとかっ」
「ご存知の通り、夜間はオートロックですから心配ありません」
「そういう問題じゃねえだろ！」

　憤る爆豪さんに、ばあやが「まあまあ、ワインはいかがですか？」とボトルを傾けて宥めた。

　爆豪さんの言い分も理解できるが、大学の各研究室にはそれぞれの研究過程、研究成果が溢れている。どちらかといえば、研究資料や発明品が置かれている研究室を無人にする方が不安だ。不審者よりもスパイを恐れる人間の方が圧倒的に多い。ローテーションで見張りを置いているチームもあるくらいなのに。

「──いかがでしょうか、お嬢様」

　ワインを持ったばあやが私に問いかける。

「あ、はい」
「それはよかったです。ねえ爆豪様」

　……ん？てっきりワインを薦められたのかと思って返事をしたのに、様子がおかしい。ばあやはさっき以上にニコニコと顔をほころばせていた。

「では、お嬢様の許可もいただきましたし、爆豪様はホテルからこちらのマンションに移っていただきましょう」
「…………え？」

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