愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ14)

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　ベッドの中で目を閉じて気持ちを落ち着かせる。爆豪さんの言う通り、彼が戻ってくるまでに眠ってしまおうと思ったが、頭の中が冴えて眠るなど到底無理だった。

　たまに雷が落ちる音がするが、思っていたほど怖くはない。

　爆豪さんが部屋から出ていってどれだけ時間が経っただろう……。二十分？いや、三十分くらいだろうか。

　このまま横になっていても眠れそうにないので、私は布団から出てベッドを降りた。

　リビングにいると思っていた爆豪さんがいない。キッチンから物音がしたので、そちらに足を運ぶと食器棚に皿を戻す爆豪さんを見つけた。

「あ？まだ寝てなかったのかよ」

　私の気配に気づいた爆豪さんは食器棚の扉を閉めて振り向く。“片付けてくる”というのは私に気を遣って言った言葉だと思っていたが、まさか本当に片付けていたとは。

「そこまでしていただかなくても……」
「泊めてもらってんだ。これくらいさせろ。……っつってもこれもばーさんの仕事か、勝手にやって悪かったな」
「いえ、ありがとうございます」
「で？なにしてんだよ。早く寝ろ」
「……爆豪さんは？」
「さっきたっぷり寝たからな。徹夜しても平気だ」

　“俺は寝ない”と言っているのだろうか。私が怖がってしまったから、遠慮しているのかもしれない。爆豪さんは冷蔵庫を開けて中を物色し、ビールを取り出した。

「うちにビールなんてありましたっけ？」
「ばーさんが入れてったみたいだ。“どうぞお飲みください”って俺宛にメモがあった」

　なるほど。それはばあやの『気配り』で用意されたものだった。他人の感情、欲しているものを『なんとなく察する』個性を、彼女は持っている。

　爆豪さんは数本のビールを抱えてリビングのソファーに移動した。長い足を組み、背もたれに肘をひっかけて喉を鳴らしながらビールを飲んでいる。どうやら本当に夜明かしするつもりだ。

「ビールって美味しいんですか？」

　素朴な疑問。ワインやフルーティーなカクテルは飲んだことはあるが、ビールは口にしたことはなかった。

「飲んでみっか？」
「え？あ、はい」

　爆豪さんが新しいビールを差し出す。それを受け取って隣に腰掛けた。

　プルタブに指を引っかけて開けると、気持ちのいい音がした。

「いただきます」

　独特のにおいを嗅ぎながら、飲み口をおそるおそる口許に運んだ。

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