愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ4)

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☆☆ ページ4

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「っん、ん～～～～っ！！」

　息もできないほどに長いキスに、私は爆豪さんの体を力いっぱい押し返した。もちろんヒーロー相手に私如きの力でどうにかなるはずはない。

　しかし私に伸し掛かっていた逞しい体は一瞬にして視界から消えた。

「ぐわっ！？」

　どうやら爆豪さんはベッドの端に置いていた膝に体重を預けていたようで、私が押してしまったことにより、膝を滑らせて床へと掛け布団ごとずり落ちてしまった。

「ッ痛ぅ……」
「あ、あの……し、失礼しますわ！！」
「は！？オイ！待てっ！！」

　床に打ちつけた膝を抱える爆豪さんを心配する余裕などなく、私はその隙をついて部屋から出た。

　幸い大学はホテルのすぐ目の前。運良く誰ともすれ違わずに大学の研究室に飛び込んで、置いておいたツナギに着替えた。さすがに前日着ていたしわくちゃのワンピースを着て人前には出られない。

　そして──……その日から私は爆豪さんとは会っていない。

☆

「調子はどうですか、A」
「……」
「A？」
「……」
「そんなにぼーっとして……。実験中だったら教授からペナルティー(・・・・・・)をもらいますよ」
「……っ！？」

　ガシャン……ッ！ドンドドンッ！ガン……ッ！！ジャラジャラ……ッ

「A！？」
「ああああ！やってしましました……！！」

　私の手から離れた瓶が床に落ちて中身が飛び散った。細かいネジが水のように広がっていくのを目にして、慌てて床にしゃがみ込んだ。

「あっちゃぁ……」
「なにしてるんですか、あなたは」
「すみません……」

　“ペナルティー”という発言に過剰に反応してしまった。恥ずかしい……。

「そういえば」

　ネジ拾いを手伝ってくれている明がぽつりと呟いた。

「最近、来ませんね。ダイナマイト」
「……っ！？そそ、そうですわねっ」

　心臓が爆発していまいそうだった。明は訝し気な目で私を見る。

「何かあったんですか」
「いえ、別に、なにも……」
「…………Aは本当に誤魔化すのが下手ですね」
「ううっ」
「どんなに強がっても無駄ですよ。彼があなたの本心を察していないとでも？」
「……」
「もっと素直になっていいと思いますけどねえ」

　明は拾ったネジを手の中で転がしていた。

「……いいえ。いいえ、ダメなんです。素直になっては……いけないんです」

　きっと彼は私のために自分の夢を諦めてしまうから。

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