愛することすら、許されない【爆豪勝己】 (ページ31)

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★★ ページ31

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「あー……」
「……」

　下を向いて押し黙ったままのAに何か言おうと頭の中でぐるぐると言葉を考える。言い訳は柄じゃないが、どうにか怒りをおさめてほしい。

　無言のままでいるのも居心地が悪くて、軽くAの肩に触れるとその体はぐらりと傾いた。

「A！？オ、オイ！」

　力が抜けたように前のめりに倒れるAを正面から抱きしめるように受け止める。触れた肌から伝わる体温はさっき以上に熱かった。

「……っ、まだ熱があったんかよっ」
「だめですわ」
「あ？」
「離れてください」

　俺の胸に手をあてて押し返すが全く力が入っていない。立っているのがやっとのくせになに言ってんだ。

「こんな……だめです」
「……何がダメなんだよ」
「だめなんです」
「だから……何がだ？」

　Aはうわごとのように“だめ”を繰り返す。このままでは埒があかないので、その真意を問いただした。

「だって、爆豪さ……ダイナマイトは、みんなのダイナマイトなんです」
「は？なんだそりゃ」
「私(わたくし)が独占していい人じゃ……ないん、です」
「オイっ！A！！」

　俺にもたれかかりながらAは目を閉じる。何度呼びかけても返事はない。体の力が完全に抜けて足元から崩れていく。咄嗟に抱き上げたので地面に体を打ち付けることは避けられた。

「あー……もうわけ分かんねぇよ」

　聞こえない相手に文句を吐いて、救急隊が待機する救急車に足を向けた。

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