愛することすら、許されない【爆豪勝己】 (ページ30)

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★★ ページ30

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「はぁ～～……なんとかなったな。A、大丈夫か？」

　俺が抱えているんだから無事なのは確かだが、本人の様子を確認するまで安心できない。

「……」
「……A？」

　Aは応えずに、無言で俺の腕の中でフルフルと震えていた。そりゃあ、あんな高さから飛び降りたんだ。自分が作った装置を俺が着用していたからって怖くないはずがない。

「悪ぃ、A。俺がもっとちゃんと飛べてたら怖がらせずに──」
「降ろしてください」
「あ？あぁ……」

　抱き上げられていたAが降ろして欲しいと言うので地面に降ろしてやった。しっかりと地面に足がついたのを確認して、足を支えていた手を離す。

「爆豪さん……どうして、あんなことしたんですか！？」
「あんなこと？」
「……っ、」

　背中に回したままだった俺の腕を振り払うようにして離れ、Aは厳しい声色で俺に問いかけた。顔を上げたその目には涙が溜まっていた。キッと強く睨みつけられ、俺は誰にも気づかれない程度にビクッと肩を跳ね上がらせた。

「いや……えっと」

　あんなこと、と言われても俺には心当たりが一片のかけらもなかった。何かAを怒らせるようなことをしただろうか。必死に考えたが、『これだ』という答えは出てこない。

「あー……悪ぃ。なんのことか全く分かんねぇ」
「わ、分からないですって！？」

　Aの体が再び震え出した。おそらくそれは恐怖ではなく、俺に対する怒りで。

「…………き」
「き？」
「きき……キスのことですわっ」
「──あ、」

　極力小さい声で周囲に聞こえないように言ったAの言葉で、俺は怒りの出所を理解した。

「それに、あんな……あんなことまで言うなんて……、信じられません……っ」
「いや、あれは……その……」

　それに関して『悪い』と謝るのは違う気がして口籠る。ほぼ無意識で……というより本能的にやってしまったことなので何の弁明もできない。

「…………最低ですわ」
「……っ、」

　両手で顔を覆いながらAが呟いた言葉に、俺は言葉を失くす。ガツンと頭にどでかい衝撃を受けたようだった。好きな女からの拒絶がこんなにもダメージを受けるものだったとは。

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