愛することすら、許されない【爆豪勝己】 (ページ15)

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☆☆ ページ15

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　なんと、壁が動いたのだ。いや、壁ではないと理解していたが、それが何なのかを今の状況では判断が難しい。だから確かめるために目を開ける。まだ寝ていたいと言う欲望を抑えて。懐かしい匂いを感じながら──……

「へ……っ！？」

カーテン越しの微かな光だけが頼りの薄暗い部屋の中。
私はあり得ないものを目にした。

「ぁ……あぅ、あわ、あうおぅ……」
「んーー……、あうあううるせえ。まだ眠ぃから大人しく寝てろ」
「！？」

　眠気が吹っ飛ぶほどの驚きで呂律が回らず、思うように言葉を発することができない私を包むように胸の中に抱き込んだのは、つい先ほどまで夢の中で対面していた爆豪勝己だった。

　夢？……いや、今ので完全に目が覚めた。これは現実だ。なら今目の前にいるのは……、

「ばく、ごうさん……？ほ、本物？」
「んだよ、A……」
「……っ」

　すぐそばで囁かれた自分の名前。数年越しに耳を通して聞いた声に鼓動が早く鳴り始めた。なぜ、どうしてこんな状況に。回らない頭で考えても解決には至らない。

　身動きがとれぬまま数分が経った。安らかな寝息が頭の上から聞こえる。相手は眠っているはずなのに、強く抱き寄せる手が邪魔で抜け出すこともできない。

　あまりの心地よさに眠ってしまいそうになる頭を叩き起こして、抜け出す手段を模索していると、ある違和感を覚えた。

「な──っ、ちょ、ちょっとこれはどういうことですか！？」

　なんと私は服を着ていたが……、下着をつけていなかったのだ。

☆

「……ンだよ、さっきまともに寝付けたのによォ」
「こ、ここ、これはどういうことでふか！？」
「あ？」

　叩き起こされたことで不機嫌に目をこする男に強く問いかけた。体を起こした爆豪はなぜか上半身裸の状態だったので、さらに動揺して言葉を噛んでしまった。

　セミダブルサイズなのであまり距離はとれない。壁側にいる私はこれ以上、後ろに下がれないので心臓の鼓動を全身で感じながら向かい合っていた。

「あ？どういうことって、何が」
「こ、この状況です！私(わたくし)はどうしてここに！？爆豪さんがここにいることも……っ。そ、それに、なぜ私はし……下着をつけていないんですか！？」
「……覚えてねーのかよ」
「はい？」

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