０２★★「……まさか」 ページ4
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俺は不可解な感覚にとらわれていた。
なぜだ。なぜ普段と同じように追い払えなかったんだ。馴れ馴れしく接してくるクラスメイトには、必要以上に威嚇して遠ざけることができるのに。
(クッソ、わけ分かんねぇ……っ)
顔を隠すように前髪をぎゅっと握り込んで内心で悪態をつく。それからいくつかの可能性を考えた。
最終的に辿り着いた答えは、『俺はあの女になんらかの個性をかけられた』──だった。
戦意を失わせるような？いや、他人を従わせるような洗脳系もあり得る。なんであれ、そんな程度の没個性の影響を受けるとは……。
あの女の術中に嵌まってしまったことに憤りを覚え、俺は強く拳を握りしめた。
☆
「……──ちゃん、かっちゃん？ おーいっ！」
「あ゛あ！？」
「ご、ごめ……っ。でも葉隠さんがプリントを回してくれてるから」
「爆豪君、何度呼んでも全然気づいてくれないんだもん。酷いよ！」
「──チッ」
俺は目の前に浮いているプリントを受け取り、一枚抜いて後ろに回した。
気を抜くとあの女のことばかり考えている。
目に入るたびに湧き出る幼馴染みへの怒りよりも。戦闘訓練を見た担任の説教よりも。仲良し小好しで学級委員長決めをするクラスメイトへの苛立ちよりも。
とにかくあの女のことが頭から離れない。
おかしい。寝る前も、通学中も、授業中も、食事中も、風呂に入っていても。特に眠りにつく前なんか、必ずと言っていいほどあの女の顔が思い浮かんでくる。
無理やり振り払っても……だ。
「……まさか、まだあの女の個性に操られたまま、なのか……」
将来ヒーローになる俺が、見ず知らずのモブ女の個性に掛かったままだなんて、笑い話にもならない。誰かに相談するという選択肢ははなからなかった。担任の個性に頼るつもりもない。
そもそも、ああいう個性は一定期間で効果が切れるものだ。自然に解けるものであるなら、それまで放っておけば良い。
しかし症状は改善されることはなく、むしろ悪化の一途を辿っていた。
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☆★「なんだそのだせぇ名前の学校」→← ★★「目にゴミが入っただけだっ」
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年10月25日 0時
