１０☆★「そういうことかよ」 ページ30
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夏休み。僕はオールマイトの付き添いで、Ｉ・アイランドへと足を運んだ。そこで偶然会ったクラスメイトたちも、それぞれが様々な経緯を経てここに来ていた。
そして今、僕はかっちゃんを必死に取り押さえている。飯田君と切島君も一緒にどうにか制止させようと努めていた。『ヴィラン・アタック』に再挑戦させろと暴れるかっちゃんの力はとてつもなく強い。
「爆豪君！落ち着きたまえっ！」
「そうだよかっちゃん。充分すごいって！」
「爆豪のすごさはみんな分かってっから！ な！」
「うっせぇ！！半分野郎に一秒でも負けてたら、そんな記録に意味はねーわ！！」
「……？」
無意識にかっちゃんを挑発してしまった轟君は、僕たちのやりとりを不思議そうに見ている。ああ、誰かこの状況をどうにかして。祈るように天を仰ぐと、ある人物の姿が視界に入った。そのタイミングの良さと驚きのあまり、僕は思わずその名を呼んだ。
「さ、
「あ゛！？」
僕の声に反応して、かっちゃんが動きを止めた。僕の視線を追うように観客席を見上げる。その先には、呆れ顔の八百万さんの隣で会場を覗き込む百日紅さんの姿があった。
☆
「まさか爆豪さんもこちらにいらしてるとは」
さっきとは打って変わって大人しくなったかっちゃんに、上品に笑いかける百日紅さん。
「てめ……旅行に行くって……」
「はい。ですからこのＩ・アイランドに」
「チッ、そういうことかよ」
かっちゃんは顔を背けて舌打ちをした。そうだよね。八百万さんが来ているんだから、百日紅さんがいてもおかしくないよね。
そしてその百日紅さんが、本当にかっちゃんの蛮行を鎮めてくれた。本人にそのつもりはないだろうけど感謝しかない。あの飯田君も驚いている。
「爆破の個性、拝見させていただきました。さすが爆豪さんですわ」
「は！？そん時から見て……っ」
「はい、ちょうど反対側で。楽しそうでしたのでご挨拶に来ましたの」
百日紅さんはかっちゃんの個性と記録を褒める。初めて見た個性に興奮気味だった。このままかっちゃんの機嫌を上向きにしておいてくれたらいいのに。
「緑谷さんも、その後の方もすごかったですわね」
「あ゛あ！？」
お願い！それ以上話を広げないで！
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年10月25日 0時
