０７★★「てめぇ、誰だ」 ページ20
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職場体験３日目。俺は有名企業の展示会場にいた。開催を明日に控え、スタッフが慌ただしく準備をしている。警備の依頼を請け負ったベストジーニストに命じられるままに、俺もサイドキックらとともに指示された持ち場についていた。
「あら」
「……あ？」
目の前を通りがかった女が俺の顔を見て立ち止まった。
「爆豪さん！」
その女はぱぁっと明るい表情で俺の名前を気安く呼んだ。
「……てめぇ、誰だ」
「いやですねぇ、
「はァ！？」
「ごきげんよう、爆豪さん」
「お……ぁ、」
突然目の前に現れた女、Aは明るい色のワンピースのスカートを軽く摘んでお辞儀をした。俺は驚きに目を見開いた。いつもよりも大人っぽい髪型と軽く施されたメイク。他人を、特に女を見分けるのが苦手な俺は、Aが服装と髪型を変えただけで見分けがつかなかった。
対してこの女はすぐに俺だと気づいたらしい。見たことのないコスチュームを着て、ベストジーニストの手で髪をびっちりと整えられていたにも関わらず……だ。
「本日は我が社の展示会の警備、ありがとうございます」
「ここ、お前んとこの……？」
「はい。プロヒーローを対象としたサポートアイテムを製造しています。このイベントはスタッフの作品展のようなものですわ」
ここで作品をプレゼンまたは実演し、プロヒーローから契約を取るというのが本展示会の狙い。作品と言っても、実践で使用できるほどにレベルが高く、以前にヴィランから強奪目的で会場を襲われたことがあったとAは話した。
たとえ見本用の作品だとしても、サポートアイテムの奪取はヒーロー側からしても大きな損失。ベストジーニストが気を抜くなと言うわけだ。
「……なんだ」
Aの視線を感じて俺は問いかけた。
「爆豪さんの個性ってなんですか？」
「爆破だ。手からニトロみたいな成分を出して、爆破させる」
「まあ、だからこういうデザインなんですね！この籠手にも何か仕掛けが？」
Aは俺のコスチュームを興味深げに観察する。
「爆破の個性、どんなものか見せてくださいな」
「あ゛！？何考えてんだ危ねぇだろ！怪我でもしたらどうすんだ！！」
俺は怒鳴り散らす。自分の個性で他人が怪我しようが、どうでも良かったのに。この女に限っては、なんでかそうもいかなかった。
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★★「爆豪さんに会えるかなって」→← ★★「羨ましいですわ」
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年10月25日 0時
